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日本の代表的なジビエ・猪と鹿 [限定・季節の食材]

暑かった夏が終わり、季節が秋へと移り変わると山では冬が終わるまでの間は
狩猟が解禁され、鹿や猪が食肉用として猟師の標的になります。

環境破壊が進む中で、野生動物は減り続けている印象がありますが、禁猟区や
禁猟期などで保護されていることもある上に、山間部の人が減少していること
もあり、シカやイノシシは増え続けていて農産物の食害が発生したり、山の中
でイノシシに人が襲われたりする例も珍しくはないのが現状です。

wild_boar.jpg

この二種類は狩猟の対象となる動物の中でも上位に位置する価値のある食肉に
なっていますが、保護動物ではない野生動物(鳥類も含む)は、フランスでは
ジビエ、中国では野味と呼ばれて珍重されています。


奈良では鹿は神様の使いとして大切な動物という扱いになっていますが、東北
や北海道では植林をした樹木の新芽や皮を剥いて食べてしまう食害をする害獣
として有害鳥獣類駆除の対象になっているぐらいに数が増えていて、秋の狩猟
解禁後には山間部の温泉地などで、鹿肉の刺身や鹿肉の焼き物などが名物料理
として供されることも珍しくはありません。
※実際に食べてみた感じでは鹿肉は匂いもなく柔らかい肉だと感じました。

wild_dear.jpg

最近では、食肉用として繁殖させている地域(北海道など)も増えているので
ジビエというよりは、家畜化が進みつつある動物とも言えそうです。

ちなみに鹿肉は、もみじ肉とも呼ばれますが、その語源は、古今和歌集の中の
「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋はかなしき」という歌からの引用
であるという説と、花札の鹿の図柄が紅葉であるという説がありますが、一つ
に決める必要もないので両論併記という形にします。

鹿肉はフランス料理でもジビエの代表的存在として扱われる非常にポピュラー
な食肉であり、鹿と同じ時期に森で収穫される茸類や果実類等と組み合わせた
料理が各店の個性として評価されています。

これは日本人が季節感を演出するように、木の葉などをあしらって飾り付けを
するのと同じく味覚だけではなく、見た目や香りといった五感で食事を味わう
ことをフランス人も楽しんでいる一つの例だと言えそうです。

北海道では繁殖させた鹿を使い、一時期流行したご当地バーガーの一つとして
エゾシカバーガーというハンバーガーを開発しているので、機会があれば是非
食べてみたいと思っていましたが、現時点では未体験なままです。

鹿の話を書いたら、花札の絵柄で考えたら次はイノシシと連想するのは私自身
そんなに若くもないからかも知れません。

今の若い世代の人で花札を知っている人は、かなり少ないとは思いますが私が
子どもの頃には座布団を持って、よく花札で遊んだものです。

なんて話は食材とは全く関係ありませんが、ふと思い出したので、なにげなく
書いてしまいました。では本題の猪肉の話に移りたいと思います。

イノシシは、フランスでは豚と同様の食材として扱われているようですが、豚
よりは野趣が強く匂いも強いので、香辛料を多めにつかった料理の材料として
使われることが多く、味付も濃い目に仕上げるようです。
それと同様に日本でも猪といえば、濃いめの味付けのボタン鍋が有名です。

濃厚な味噌味のスープで猪肉を煮る鍋料理で、野生の猪はどんぐりなどの山の
味覚を食べているので、いくら煮ても固くならないと聞きますが、所詮は動物
の肉ですからね、そりゃ煮過ぎれば固くなるのは同じです。

鍋の名前になっているボタンの語源は、鹿肉と同じく花札の絵柄で猪を配した
絵柄はボタンであるという説と故・高倉健さんの映画で有名な「網走番外地」
の唐獅子牡丹の唐獅子=シシから来ているという説、そして猪肉を白い丸皿に
並べた様子が、牡丹の花を模しているというような話もあります。

日本に生息する猪は絶滅を心配されるような状況ではなく、繁殖力が強い野生
動物ではあるものの、野生動物を殺して食べるということに抵抗を感じる人が
多いことと、厳しい銃規制と禁漁区、禁漁期などの規則がありますから海外の
ように自分で食べたいと思った獲物は自分で射殺するなんてことは、ほとんど
ないのではないかと思います。

海外の山の宿では、宿のオーナーが自ら仕留めた猪を提供するという例も多い
と聞きますが、日本で猟師の人(専業の猟師はほとんど存在しない)が自分で
経営しているような旅館や民宿なんてほとんどありませんから、狩猟を趣味に
する知り合いがいないという人(大部分だと思います。)が野生の猪を食べる
機会なんて滅多にあるものではなかったのですが、インターネット通販が通常
の買い物になってきているので、楽天やAmazonなどで探せば、猪肉の購入は
とても簡単になりました。(値段は高いですけどね)

botan_nabe.jpg

そんなわけで猪鍋を家庭で食べることも難しくはありませんが、やはり味噌味
のしし鍋用のスープというのは作るのが難しいので、猪肉を美味しく食べたい
と思うなら山里の旅館などの日帰りプランをお勧めします。

想像以上に脂っぽいので好き嫌いははっきり分かれると思いますけどね。


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