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韓国・務安の航空機事故について [飛行機・鉄道・自動車]

12月29日、韓国の務安空港でバンコク発務安行きのチェジュ航空機が着陸時に
メーデー(緊急事態発生)の交信をした直後に胴体着陸をしたものの滑走路内に
停止することが出来ず、コンクリート製の外壁に衝突して爆発・炎上、乗員乗客
181人の中で、2人だけが救助されるという大惨事が発生しました。



事故の後で、海外の報道番組の映像を見て、機種を下げることも出来ないままで
滑走路を高速で突き進み、爆発炎上をする場面を見て、非常に驚きました。
当初の情報では胴体着陸に失敗という表現でしたが、あの事故の状況は胴体着陸
自体は失敗しているとは言えず、着地後に機種を接地できなかったことと滑走路
の先端にコンクリート構造物があったことが事故を大きくしたと思います。


車輪が出ないために胴体着陸をするということは、稀にありますがそれらの例で
エンジン出力がコントロールできずに、逆噴射で減速できないという事象が発生
したということは殆どなく、今回のようにエンジンに鳥を吸い込んでエンジンが
破壊され、さらに降着装置も作動しないという多重トラブルが発生している状況
で滑走路に真っ直ぐ接地できたのはクルーの必死の操縦によるものでしょう。



あくまでも推測ですが、エンジンが破壊されて油圧系統がダメになったことから
フラップを降ろして減速することが出来ず、機種を下げて前面を滑走路に擦って
減速することも出来なかったために、なす術もなく外壁に向かって激突した理由
なのではないかと思いますが、フライトレコーダー、ボイスレコーダーの解析に
よって、機体の破損状況やクルーの対応などについて事実がわかるでしょう。



以前、セントレアから高知に飛んだDHC-8が、前輪が出ないために胴体着陸を
敢行して滑走路内で停止したことが対比例として出されているようですが、あの
トラブルでは主脚は使えていましたから、ブレーキをかけることは可能だったと
思いますし、エンジンに問題もなかったので前輪以外に問題はありません。

もちろん、クルーの操縦が称賛されることに対して意義は全くありませんが今回
の事故のクルーの対応を批判することは全くの見当違いです。
滑走路に接地後、数十秒の機体との闘いの厳しさは当事者にしかわかりません。

今までにこんな事故は発生したことがない、だから航空会社、クルーが悪いんだ
という前提の話では、今後の事故抑止にとって何の意味もありません。

一つ一つの事実を精査、検証して原因になった要因を冷静に抽出していくことで
今までにない事故の真因がわかり、同様の事故を防ぐための手段が確立していく
ことになりますから、航空評論家の推測をあまり前面に出すのも控えた方が良い
と思いますが、特に日本のメディアは「専門家」の発言を妄信して、さらにその
発言に尾ひれを付けて拡散するコメンテーターなんてのも存在していますからね
日本のワイトショーなんてのは見ないのが一番賢いと思います。

なお、確実に言えるのは滑走路の先端にコンクリート製の構造物を設置したのは
100%間違いです。飛行機が滑走路をオーバーランするトラブルは墜落する事故
よりも遥かに頻度が高く、死傷者こそ出ていませんが世界の各地で発生している
航空トラブルですから、止まり切れなくても最大限の安全を確保するために各地
の空港では緩衝地帯が設定されています。



以前、福岡で離陸滑走中に機長の判断で離陸中止を決めたものの、すでに安全に
停止できる速度を超えていたために空港のフェンスを突き破って外に飛び出した
事故がありましたが、機体が爆発するような大惨事には至りませんでした。

もしも、福岡空港の外壁が強固なコンクリート製だったとしたら、あの時飛行機
に乗っていた人は全員、生還することはなかったでしょう。
務安空港の問題点は事故の後になって、いろいろ指摘されていますが、その話を
書いているとさらに長くなるので、務安空港の話はまた後程にします。


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