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おせち料理の食材について-2 [限定・季節の食材]

田作り:
昔から田畑の肥料としてカタクチイワシの魚粉が使われています。
今でも有機農法ではイワシの魚粉が使われていて、イワシの魚粉を使うと非常
に効果が高く、良い作物が収穫できるようです。

ですから、田を作るものとしてカタクチイワシを田作りと呼んで、新しい年の
五穀豊穣を願って、おせち料理に登場するわけですね。



田作りに別名「ごまめ」という言い方がありますが、ごまめは漢字の表記では
「五万米」と書いて、より多くの収穫がありますように、という願いをこめた
名前ということになります。

産地としては、山口県や瀬戸内周辺のものが多く出回っています。


黒豆:
「一年間、クロうしないでマメに暮らすことが出来ますように」という願いを
込めて黒豆が、おせち料理の一品になっています。



干した豆を軟らかく戻す時に、砂糖水の濃度を間違えて濃くし過ぎると浸透圧
の関係でシワシワの出来上がりになってしまうので、手間がかかる食材です。

薄い砂糖水から順次なじませながら、濃い砂糖水に代えていくことで、表面が
ふっくらとした艶やかな出来上がりの煮豆を作ることが出来ます。

既製品の場合は“マメにクリクリ”というふたつの願いを込めて、栗の甘露煮も
入っている場合が多いですが、現代ではそんなに働かないかな。

京都丹波産の黒豆がとても有名ですが、お値段も特別に高いので黒豆を買う時
は味にこだわるか、値段で妥協するのか選択が必要になります。

数の子:
一腹の中にたくさんの卵を持っていることから子孫繁栄を表しています。

北海道でニシンが豊漁だった頃には、干し数の子が主体だったのですが、ほぼ
100%が輸入物となっている現在では、手間が要らず均一的に加工することが
可能な塩数の子が主体になっているのが現状ですが、ポリポリとした食感では
塩数の子が干し数の子に勝ることはありません。



塩抜きに時間をかけすぎると数の子の中から苦味が出てきますので、大晦日に
除夜の鐘がなり始めた頃に、水に浸けておいて、初詣に出かけて翌朝ゆっくり
と起きたぐらいが食べ頃とされています。
※これはあくまでも例なので、それぞれの数の子の説明をよく読んで下さい。

産地としてはカナダやノルウェーがメインになっていて、国産も混ざりますが
太平洋側ではなく、大西洋で漁獲された魚の卵は粒や卵塊が柔らかく噛んだ時
のプチプチ感に欠けるので、味付け数の子に加工されることが多いです。

進物用と一般用では大きな値段の差がありますが、その理由は進物用は当年産
の新物が使われているのに対して、安売りのものは前年の残りのいわゆる在庫
「ヒネものとも言う」であることと、選別する際に卵巣部分の大きさが揃って
いるものは高く、不揃いだったり傷のあるものは安くなっています。
実際のところ一年前のものであったとしても味自体がそんなに不味くなること
はありませんから、見栄えが気にならないなら問題ないです。

おせち料理はどうしても煮物などが多いので子どもや、若い人たちにはあまり
喜ばれないという印象があるのですが、それでもやはり年末になると昆布巻き
とか、ニシンの姿煮などが売れるのですから“伝統”はあなどれませんね。

たたきゴボウ:
ゴボウは普段は、なんとなく裏方さんというか渋い脇役の印象が強い食材では
ありますが、おせち料理の中ではしっかりと主役を務めています。

日本以外の国ではほとんど食用にされない野菜ですが、日本の食文化の中では
形の通りに、しっかりと根を張っている特有な存在であることに意味があって
ごぼうは縁起物の食材として大切に利用されているわけです。



地面に根ざして(地に足を付けて)しっかりと根を張った堅実な生活が出来る
ように、という願いが込められているのが、たたきゴボウなのです。

栗きんとん:
きんとん=金団という漢字をあてていて、金銀財宝を呼び寄せる黄金色の食材
として縁起物の中でも上位にランクされている料理です。



さつま芋だけでは鮮やかな黄色にするのは難しいので、小売店で売られている
商品は「くちなしの実」の色素を使って着色されています。
一昔前の合成着色料(発がん性が指摘されていた)よりは余程マシです。

伊達巻き:
卵焼き用の溶き卵の中に、魚のすり身や山芋などを混ぜて焼いた上で、さらに
グルグルと巻いて巻物=学芸・学問を象徴しているわけです。



伊達巻きという名前にも謂れがあり、数多い戦国武将の中でも最も華美で派手
であったといわれる伊達政宗公にあやかっています。
最近は伊達男(しゃれた身なりの男)という言葉も使わないので、伊達=豪華
という比喩も分からないかも知れませんね。
ちなみに、「いたつまさむね」ではなく「だてまさむね」ですからね。
伊達政宗を「いたつまさむね」と呼ぶ人がいたので注釈をつけておきます。

長くなったので、続きはまた「3」で書きます。


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lamer

来年も宜しくお願いいたします。
佳いお年をお迎えください。
by lamer (2022-12-23 22:04) 

suzuran

lamerさん:
コメントありがとうございます。

今年のブログ投稿は終了でしょうか?
年中無休の会社に勤めているので、私は12月31日まで通常通りです。

良い年をお迎えください。
来年もよろしくお願いします。
by suzuran (2022-12-24 00:08) 

リス太郎

これ興味深い。いま忙しいのでまたじっくりと過去記事も含めて読ませていただきます。まじナイスです。
by リス太郎 (2022-12-24 18:01) 

suzuran

リス太郎さん:
コメントありがとうございます。

年齢を重ねるにつれて、一年がドンドン早くなっています。
おせち料理も、ほんの少し前に食べたような気がしますが…もう一年
という感じです。値段はだんだん上がっているように感じます。
by suzuran (2022-12-25 21:56) 

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