女性には有害な官能小説 [コミック・アニメ・本]
で「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(Fifty Shades of Grey)」という
いわゆる官能小説の日本語版が発売されました。
他国と同様の爆発的な売れ行きが期待されていたみたいですが、書店の平積み
もそんなに売れている感じではなく、出版元・書店ともかなり期待外れだった
ようで、結果として惨敗まではいかないものの目標とは程遠い感じに終わった
というような見方が多かったです。
女子大生と若き大富豪がSMを盛り込んだ性的関係の契約を結んで、日々調教
されていくみたいな内容で、米国や英国のベストセラーランキングでは上下巻
で上位を独占、し合計販売部数は数百万部になっていて、あのハリーポッター
の記録を抜いたと大騒ぎだったので、日本語版の読者層としては性的に満足感
を得られていないと想定される30-40代の女性(セックスレス大国ですから)
を中心に売れると見ていたようですが、それぐらいの年代の女性が店頭で堂々
と内容を確認をする勇気はないと思います(日本人女性の場合、性的に貪欲で
あったとしても隠すでしょう)ので、ネット書店でどれだけ売れるかが勝負と
いう感じだったはずです。
で、実際に書店で立ち読みをした感想ですが、文字が小さくて一般の小説並み
である上に、個人的に外国人の名前(片仮名の名前)を覚えるというのは苦手
なので内容に没頭できなかった上、上下巻合わせて約四千円という価格の価値
を見いだせなかったので買いませんでした。
男性器・女性器の登場する場面は多いのですが隠語というか俗語というか翻訳
した人もかなり苦労したんだろうなとは思いましたが、直接的な表現のない分
だけ想像力をかきたてられて卑猥だと思うか、刺激が感じられないと思うかの
分岐点が微妙なところだなと思いました。
ちなみに英国の某作家が、官能小説は女性に誤ったセックスやオルガスムスの
認識を与え健康に有害であるという自説を発表し、官能小説は女性が読むのは
良くないという理由を解説していました。
男性は視覚と聴覚からの刺激に反応しやすいことから、アダルトビデオを主に
愛用しているのに対して、女性の場合は文章を読んで想像力を働かせて頭の中
でイメージを組み立てるという特性があることから、女性の性的欲望の着火剤
は官能小説という論点に立っての見方でした。
アダルトビデオが実際のセックスとは違うのと同様に、官能小説も実際の愛撫
やセックスとは違う部分があるにも関わらず、女性が官能小説の内容を実際の
セックスだと思ってしまうと相手の愛し方が下手なのだろうか?とか自分自身
が不感症なのではないだろうか?と悩んで、女性器を整形したりノイローゼに
なったりして健康を損なってしまうことになりかねないという意見で、受け身
かつ外部からの絶対的な表現に影響されやすい女性には、なになにしなければ
いけないというような観念を持たせてしまう官能小説は女性の悩みを増幅させ
最終的には早く病院に行かなきゃ、となってしまうかも知れないという心配も
含めての理屈でしたが、確かにそういう部分はあるかもねとも思います。
女性が自分自身を卑下して、自信を喪失する原因の一つが官能小説だとすれば
それは確かに女性にとって有害であり読まない方が良いでしょうが、創作の話
の世界にそこまで徹底的に没入する人がいるかは疑問符が付きます。
快感の波の大きさや振幅も個人差がありますし、女性自身が潤わないとか膣の
締まりがとか、そんなことも女性にとっては悩みになるわけですから、画一的
に主人公がエクスタシーに達する官能小説では、想像上の欲求不満を解消する
ことは出来たとしても悩みの解決にはならない、というのはあると思いますが
小説という創作物で解決しようとは思わないんじゃないのかな。
ちなみに映画化もされましたが、興行的には成功しませんでした。
性的な表現を大胆にすれば成人映画になってしまうし、表現を大人しくすれば
小説の世界を映像化できないのですから当たり前のことですね。
中途半端なR15映画では大人の女性だけでなく、エロいシーンを期待する男性
にも受けませんから客は入らないですよ。
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