ダニエル・リカルドの骨折は重傷 [モータースポーツ]
しようとしてウォールに激突して骨折したダニエル・リカルドですが、手術は
成功したものの単純骨折ではなく複雑骨折だということで、当初の予測よりも
回復まで長引きそうな感じになっています。
事故の直後には手術で骨折した骨の位置を修復すれば、早ければイタリアGPの
次のレースであるシンガポールGPに間に合うのではないかという楽観的な見方
が出ていましたが、複雑骨折だったということで日本GPにも間に合わないかも
知れないという見通しになっています。
実際にどんな状態なのかは、詳細が明らかになっていないので断定的なことは
言えませんが、いわゆる単純骨折は閉鎖骨折とも表現される状態で、外見上は
骨折した部分が皮膚の表面からは露出していません。
それに対して複雑骨折は、折れた骨の一部が皮膚を突き破って皮膚の外に骨が
突き出している状態のため、骨の修復だけでなく損傷した筋肉、皮膚の縫合も
必要になってくる重篤な状態になります。
ただ、事故直後のダニエル・リカルドは右手で左手を押さえていたものの出血
している様子ではなかったので、単純骨折と複雑骨折という意味合いではなく
単純に中手骨を骨折していただけではなかったという意味かと思います。
中手骨の骨折でもっとも症例が多いのは、中手骨骨幹部骨折という骨の折れ方
で、強い力でなにかが手の甲に当たった瞬間に、骨自体に当たったり、手首を
捻ることによって発生するもので、当たって折れた場合には単純な骨折ですが
手を捻ったことによって折れた場合は、骨がねじれることで長さが短くなって
指が変形することがあります。
事故の後でダニエル・リカルドは、ステアリングが当たったと言っていたので
中手骨骨幹部骨折の疑いが強いですが、指の先端から根本に向かって強い力が
かかって折れた場合は骨折と同時に脱臼も発生するベネット骨折という状態に
なるため、骨折部位を整復しても指の根元の筋肉が中手骨の根本の骨折部位を
手首側に引っ張るために骨折したところがずれてしまい、いつまでも骨が接合
しない状態になってしまいます。
骨折部位を整復しただけでは治りが遅いので、ワイヤーで固定する必要があり
ますが、接合した後でワイヤーを抜かなければならないためやはり単純な骨折
よりは回復までには時間がかかるので、もしかしたらベネット骨折という状態
になっていたのかも知れません。
ダニエル・リカルドにとっては悔しい怪我ですが、あまり急いで治そうとして
指の長さが短くなったり、変形によって握力が著しく低下したりする、という
こともあるので、無理にリハビリを進めたりして悪化するのが心配です。
現在はスーパーフォーミュラに出走するため、日本を拠点にして活動している
リアム・ローソンは、そもそもレッドブルとアルファタウリの二つのチームの
リザーブドライバーなのでスーパーフォーミュラを欠場してでもF1に出走する
必要があるということで、予定外のF1デビューになりましたが、来年のシート
を確保するためにイタリア、シンガポール、そして日本でポイントを獲得する
ことが重要になりそうですね。
ダニエル・リカルドの人柄は好きなので、アルファタウリに残って欲しい反面
今年のスーパーフォーミュラで総合優勝の勢いがある若きドライバーが来年も
F1のレギュラーシートを確保できないというのも残念な話だと思います。
レッドブルが第三のジュニアチームを作る、という噂話が以前にありましたが
それが現実になれば丸く収まるんですけどねと非現実的な話で終わります。
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