知覧・特攻平和会館

鹿児島の知覧には特攻平和会館という特攻隊員の鎮魂の施設があります。
日本の国の将来を案じ、平和の礎となるべく自らの意思によって若くして命を
落とした青少年のパイロットの遺品と遺書が展示してあります。
ちなみに知覧の特攻基地は陸軍ですので、有名な神風特攻隊とは違います。



敵機から発見されないように林の中に作られた三角兵舎と呼ばれる宿舎で共同
生活をして、アメリカ軍の艦隊への体当たり攻撃の訓練に日々を費やし、出撃
命令が出た暁には、文字通りの肉弾となって目標を撃破することが任務となり
戦果を報告することさえ自分自身では出来ない出撃になります。

当時のアメリカ軍の将校・兵士たちは、数千・数万の機銃掃射の中を掻い潜り
自分たちの艦船に突撃して自爆するパイロットを恐れると同時に、激しい銃撃
の中でも、撃墜されることなく突撃を成功させる優秀な技量を持つパイロット
を、人間爆弾として一度きりの攻撃によって死なせてしまう、日本軍の戦略を
理解できなかったとされています。

一度離陸したら戻ることの許されない戦闘機・攻撃機、飛行機を調達すること
が厳しくなってきた末期には練習機までが投入されて、約千キロ先の目標まで
航路図と上空からの目視によって到達した優秀なパイロット。

さらには日本という国と国民を守るということに真剣に向かい合った優秀な人
を紙切れ一枚で亡くしてしまったことが、現代の政治家・実業家の中に本当に
国や国民の幸せや安全を考えているとは思えないような人が存在する理由でも
あると見ることもできるのではないかと思います。

知覧の場所は、鹿児島市から今では知る人も少ないかも知れない怪獣イッシー
（昔から棲んでいる天然記念物のオオウナギ説があります。）が出没していた
池田湖や砂蒸し温泉で有名な指宿の方向へ二時間ほど走ったところです。

知覧を訪れる人は、昔からの武家屋敷と特攻平和会館を回る観光ツアーの人が
大半で、物見遊山的な観光スポットではありませんので、浮かれた酔っ払いの
姿などは今までに見たことはありません。

ご遺族の方々が高齢となり、自分で管理することが不安だとして遺品の寄贈が
増えていることもあって10年前に行った時には建物が増築されていました。

館内での撮影は禁止ですが、外からの撮影は可能なので終戦後に、福岡の海中
から引き揚げられたゼロ戦の機体の前部（実物）や、映画の撮影のために復元
された一式戦闘機・隼などは外から撮影が可能でした。

復元された三角兵舎の中には垂直尾翼などが割と無造作に置かれていますので
そちらは間近で見ることが可能になっていました。









敷地の中には、映画「ホタル」の碑があります。
高倉健さんが主演して製作された映画「ホタル」は、知覧に実在した富屋食堂
という旅館で特攻隊員の世話をしていた鳥濱トメさんという女性が、遺した話
の中でのエピソードを映画化したものです。


出撃して敵艦に体当たりをしたら必ずホタルになって帰ってくると言って早朝
に出撃した特攻隊員の言葉通り、その日の夜ホタルが旅館の中まで入ってきて
柱に掴まって光を放ったという話が元になっています。

鳥濱トメさんと富屋食堂の話は「ホタル帰る」という本に詳しく書かれていて
当時の人々の思いも伝わってきますので、機会があれば読んでみて下さい。



もしも実際に行かれることがあれば、知覧の特攻平和会館に行ってから開聞岳
を目指して車で走り、特攻隊員が最後に日本の景色を瞼に刻むために、上空を
一周してから飛び去ったと言われる開聞岳を見てから、指宿に抜けるルートを
お勧めします。（国道なのでルートが無くなっていることは無いと思います）

タグ：特攻隊 知覧 パイロット 失政 太平洋戦争

コメント 4

尊い命が戦争で奪われたかと思うと悲しくてなりません。
by 溺愛猫的女人 (2023-08-13 13:37) 

そちらには、一度レンタカーで、見学に行ったことがあります。
特攻隊員達の手紙がたくさん保存されていて、印象的でした。
by ヨッシーパパ (2023-08-13 19:02) 

溺愛猫的女人さん：
コメントありがとうございます。

戦争は絶対にしてはいけません。
ウクライナとロシアの戦争も片方だけが悪いことは絶対にないです。
国民のことを本気で思ったら、国民が一人でも死ぬことはしませんよ。
by suzuran (2023-08-13 22:11) 

ヨッシーパパさん：
コメントありがとうございます。

特攻隊員の手紙を全部読んでいたら、閉館の時間になりました。
一日居ても全部読むことのできない重さがありますね。
by suzuran (2023-08-13 22:13)