夏の体調とお肌の管理は豚肉で

今回は、夏を健やかに過ごすための必須栄養素として知られるビタミンＢ群を
多く含み、いろいろな食材とも相性の良い豚肉の話を書きます。

豚肉は鶏肉と比較すると脂質が多いため（カロリーが高い）デブの素と言って
嫌う人もいますが、豚の脂肪には不飽和脂肪酸が多く、生活習慣病の予防には
効果的な食材ですから、脂も上手く利用して健康管理に役立てましょう。



豚肉に多く含まれているビタミンＢ群の中でも、ビタミンB1は糖質を分解して
エネルギーに変えるのに欠かせない栄養素であると共に、筋肉の疲労によって
作られる乳酸を排泄させる働きがあり疲労回復の役割にも優れた栄養素です。

また、ビタミンB2は細胞の活性化を助ける栄養素なので、夏の紫外線で傷んだ
素肌や爪、髪などのダメージを癒す効果がありますから、美容の面でもとても
役に立つ食材だと言えます。

豚は全国的に育成・生産が行なわれている畜産品ですが、特に有名なブランド
として知られているのは薩摩（鹿児島）の黒豚だと思います。



現在のように表示の厳正化が求められるまでは、本来、黒豚とは呼べない雑種
の豚肉でも、黒ければ黒豚というラベルが貼られていたことは、否定できない
事実ではないかと思いますが、農林水産省のガイドラインが制定されてからは
バークシャー種という耳の垂れた豚同士から生まれた純血種の豚のみを、黒豚
と表示できるというようになりました。
※ それでも残念なことに罰則を設けても、表示を偽る例はありますが…。

日本国内においては、夏場の間は豚の出産が減少するため需要に対する供給量
を確保するために、デンマークやアメリカなどからの輸入肉も主力商品として
店頭に並ぶようになりますが、価格的には国産の方が高いです。

以前は、台湾産が輸入の主力でしたが、口蹄疫（蹄のある動物だけが感染する
伝染病）が流行してからは日本への輸入は止まり、さらに豚コレラの感染終息
が現時点でも完了していないので、価格は高止まり気味です。

豚肉は牛肉と比較すると赤みが薄くなっていますから、良いものと悪いものを
比較して選びやすい肉です。（素人目でもはっきりと違いが判ります。）
肉色的にはあまり赤みの強いものよりは、ピンク色に近い方が健康に留意して
育った豚で、健康に育ったということは、ストレスを感じていない（豚は意外
なことにストレスに弱い動物です。）環境で大切に育てられたことを意味して
いるので、病気が少なく抗生物質が残留している可能性も低いと思われます。

どんな豚肉でもトレイの底にドリップ（肉汁）が大量に溜まっている状態の物
は、加工後の時間が長いか、冷凍から解凍する工程が雑だった可能性が高いと
思うので、なるべく避けるようにした方が良いです。

以前は、豚肉の脂身は人間の体温で溶けるので、吸収されやすく、体内に蓄積
されやすい（太りやすい）というように言われていましたが、脂身には脂肪分
だけではなく、女性の肌を美しく保つとされる、コラーゲンが大量に含まれて
いることがわかってきました。

脂身ばかりを大量に食べ続ければ問題ですが、そんな人はいないと思いますし
適度に利用することで、血管に柔軟性を持たせたり、肌を瑞々しく保つために
有効なので、1日当たりの目安を40g程度にすれば良いという基準があります。
※　40g＝成人が太るのを気にしなくても毎日食べることの出来る基準量。
　　豚肉の場合は、約40gで牛肉は50g、鶏肉は60gです。
　　もしも豚肉を80g食べた翌日は、肉類を摂らないようにすればバランスは
　　取れる計算になりますが、あくまでも理論値です。

豚肉の脂身は炒めたり、茹でたりしても質量があまり変わりません。
それは脂肪が抜けた後に肉汁や水分を吸収してゼラチン状になったコラーゲン
が残っているので重量の変化がないわけです。



ですから、加熱時間を長くすると抜ける脂肪の量が増える分だけコラーゲンを
多く摂ることが出来るので、鹿児島の豚骨料理や沖縄のラフテー、豚の角煮は
余分な脂抜きが出来て、コラーゲンを多く摂ることの出来る理想的な豚肉料理
ということが出来ます。

以上は、一般の精肉の話ですが、豚の耳や豚足など、ちょっとゲテモノ的？な
食材にもコラーゲンは大量に含まれています。



特に豚の耳は、沖縄料理でおなじみのミミガー（豚耳の刺身）にするとコリッ
とした食感が美味しいものですが、以前はなかなか入手できませんでした。
が、最近はネット通販が普通になりミミガーや豚足の良品も手軽に買うことが
出来るようになってきているので、上手に利用したいものですね。

夏の暑さに負けない柔軟な肌と髪を守る良質なビタミンBをたくさん含む豚肉
は比較的、安価に身体と素肌の調子を整える夏の栄養食品です。

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