MEG ザ・モンスター [シネマクラブ]
200万年前に絶滅しているはずのサメの祖先にあたる生きた化石が深海
で生き延びていたという設定で、エクスペンダブルズ、ワイルドスピード
シリーズに出演しているジェイソン・ステイサムが主演です。
観ていない映画について云々というのはどうかとも思いますが、時期的に
ちょっと外した感のあるサメ映画ということで、そんなに観客動員を期待
しているわけでもないと思うので、ブログのタイトル通りに感じたことを
そのまま書きたいと思います。
スティーブン・スピルバーグ監督の「ジョーズ」が大ヒットしてからサメ
が登場する映画は、ジョーズの続編やマイナー作品、「シャークネード」
などの荒唐無稽なテレビシリーズも含めると少なくとも100作品以上が
公開されていると思いますが、ジョーズを超えたと私自身が感じた作品は
現時点まで現れていません。
ジョーズが公開された直後にサメがダイバーの足を食いちぎる様子を偶然
撮影した場面を取り込んだ全編がドキュメンタリー作品なのか今一つ意図
がわからない映画も公開されましたが、サメが海中を泳いでいるシーンを
延々と見せられて、ダイバーが襲われる部分だけが唐突にクローズアップ
された感じの「シャーク!」というタイトルでしたが、粗製乱造の域から
逃れられない作品がこれも含めて多数ありました。
サメが登場する映画の演出の難しさは「シャークネード」のようにサメが
空から襲い掛かってくる(現実感が無さ過ぎて映画の中には入り込めない
単純な娯楽作品なんですけどね)ような特殊な場合を除いて、陸地にいる
限りは100%安全なことですよね。
ですから、陸上の場面でいかに緊張感を高めるかが監督の手腕の見せ所と
いうことになるわけですが、それなら全編を海上でのサメとの戦いに限定
すれば良いかというと海は広いな大きいな、ということでサメの存在感が
感じられない海面を映していてもこれまたテンションが下がります。
サメが遺伝子操作によって人間よりも賢くなったという設定でサメと知恵
比べをしなければならなくなるという「ディープ・ブルー」という作品も
ありましたが、こちらでは肝心のサメの映像を創り出したCGがお粗末で
プールからサメが飛び出して人間を引き込むシーンを見て一気に冷めたと
いうことで、演出、映像、設定の全てにおいて残念な映画でした。
「MEG ザ・モンスター」は本編を観ていないので演出について意見を
書くようなことはしませんが、深海から全長20メートル以上の古代サメ
が冷水域を超えて浮上してきたことが確認されているにも関わらず近くの
海水浴場が遊泳禁止になっていないという設定はおかしいでしょう。
「ジョーズ」のように危機感のない市長が遊泳禁止に反対したという話が
映画の中で出てくるならわかりませんが、そういう部分はないような感じ
なんですよね。
海水浴場が襲われた時、アメリカ人のジェイソン・ステイサムがサメ退治
に躍起になっている海域で、アジア系の海水浴客が大半というのも何だか
違和感を感じますし、全長20メートルのサメが自由に泳げる深さなのに
子供を含めた多くの遊泳者がいるというのもリアリティがないですね。
製作費の大半が中国系の会社から出ているというビジネス面の現実が映画
の現実感を薄くしてしまっているように感じています。
中国や台湾、日本の俳優がアメリカの俳優と一緒に出演していること自体
は良い傾向だと思いますが、アメリカが主体の海洋調査のスタッフの半数
近くがアジア系で、ラテン系やアフリカ系のスタッフが少ないというのは
今までの映画になかったことなので、違和感を感じるのかも知れませんが
こういう部分に違和感を感じなくなるようになれば、それがアジアの俳優
にとっては良いことだとは思うものの私自身に慣れが必要です。
一番けなげで注目した出演者はメガロドンから必死の泳ぎで逃げていた犬
のピピン(ヨークシャーテリア)ですね。映画の中で一番感情がこもった
場面で、よく頑張った!と心の中で誉めてしまいました。
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