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幻になりそうな三菱MRJ [飛行機・鉄道・自動車]

国産初のジェット旅客機として開発続行中のMRJ(三菱航空機)ですが
海外からの受注が確定、オプションを含めてゼロになりそうなニュースが
続いていて、現実的には赤字が確定しつつも販売にこぎつけたYS-11
よりも残念な状況になることが予測される状況になりました。

YS-11_JAC.jpg

技術大国の日本が国産旅客機を製造するということになれば、一昔前から
言われているクールジャパンの延長線上の話として海外でも当然高評価を
受けて成功間違いなしと考えている人も多いようですが、実際には国産で
機体は作れてもエンジンはアメリカ製のGE(ゼルラルエレクトリック)
であり、フライトシステムなどにソフトウェアについても、同じクラスの
リージョナルジェット(70-110席、航続距離3000キロ程度)を
製造するボンバルディアやエンブラエルの方が実績がある分だけ信頼性は
高く、開発費は低く抑えられる状況にあります。


それでも日本の「技術力」という目に見えないブランド力の効果は多少は
あったようで、アメリカのリージョナルエアラインやリース会社から受注
を集めていましたが、度重なる開発の遅れ=納入遅れによって顧客からの
信頼は低下の一途であり、具体的にキャンセルの話も出てきているという
話も浮上してきていて、MRJが実際に商況飛行をすることが出来るのか
という点については疑問符が大きいと見ています。

MRJ_ana.jpg.jpg

全日空に納入する機体の製造、試験飛行、形式証明取得が最優先事項だと
されていますが、計画通りであれば現時点で全日空、日本航空への納入が
進んでいるはずだったわけで、MRJを組み込んだ路線計画に対して機材
が不足して路線拡張、便数増の停滞という影響が出ていることから全日空
日本航空が減収分の補填や機材リース代金の弁償を求めてきて場合、今後
三菱航空機は開発費の赤字のみならず、顧客に対する損害賠償の支払いも
発生することになり、債務超過がさらに進むことになります。

このように納入遅れによる信頼低下、開発費の支払いに対して収入がない
状態が続くだけでなく、ライバル会社が大手航空機メーカーと提携したり
傘下入りしたことで販売支援を受けることは出来なくなってしまったため
MRJの将来性に明るい要素は全くなくなりました。

カナダのボンバルディアはヨーロッパの多国籍企業のエアバスと提携して
エアバスが製造する150席以上の中小型機とボンバルディアが製造する
80-120席クラスの小型機の販売が両社によって行われることになり
特にヨーロッパ圏においては、MRJの販売をサポートしてくれる会社は
事実上なくなったと見るべきだと思います。

Bombardier-cs100.jpg

また、ブラジルのエンブラエルはアメリカのボーイングの傘下入りが決定
しMRJの販売協力の契約は破棄されたものと見られるため、ヨーロッパ
に続いてアメリカと中南米ではMRJの生きる道は無くなりました。

fuji-dream_E175.jpg

MRJに対する投資は1000億円を超えていて、現在の負債から考えて
採算分岐点となる受注機数は1000機以上ともされているにも関わらず
確実に待ってくれそうなのは全日空のみ(日本航空はすでにエンブラエル
の既存機を追加発注していたような気がします)で、他に静岡空港に拠点
を置くフジドリームエアラインズがエンブラエルの機体を使っていますが
MRJに置き換えるという話はありません。

要するに全日空があくまでもMRJの導入を進めるとしたら、世界全体で
20機しか飛んでいない超レア機種になるか、三菱航空機側が納入不能を
宣言しそうな気がします。

現状を冷静に見れば三菱航空機のMRJが旅客機として世界の空を飛ぶ日
は夢物語でしかない状況なわけで、日本製はなんでも世界で大人気という
間違った情報を流し続けるメディアも頭を冷やして提灯記事ばかり書くな
と言いたいものです。


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