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40年前に初めて泊った民宿の話 [トラベル]

最近では、あまり民宿という言葉を聞かないのですが、20年ぐらい前の安い宿
といえば、民宿が当たり前で、同じようなコンセプトでありながら洋風の少々
洒落た感じのペンションが人気が出てくると、普通の民宿が和風ペンションを
を名乗ったり、逆にペンション側もヨーロッパスタイルの民宿と名乗ったりと
節操もなくお客の取り合いをしていました。

crystal_beach.jpg

で、初めての民宿の話ですが泊まったのは25年ぐらい前のことです。
今ではあまり流行りませんが、私の住んでいる辺りから海水浴に出かける場合
きれいな砂浜の海水浴場と言えば若狭と相場が決まっていました。
水晶浜という砂浜があって、昔は国鉄の駅にポスターが貼ってありました。
目前に原発がありますが、ポスターでは原発が見えないようになっていて遠い
昔から日本では姑息に原発を隠すのが伝統のようです。


まだJRではなく国鉄の時代だったので、あまり合理化に熱心ではなかったと
いうことなのか、若狭方面に海水浴に行く目的だけのために、海水浴シーズン
のみ運行されるエメラルド号という急行列車が走っていた時代でした。

emerald_rapid.jpg

もちろんインターネットなんて存在しない時代ですから、電話で直接予約した
○○荘という名前の民宿に友達たちと出かけました。

今の「プライベート」を大切にする人たちには絶対に信じられないような襖で
区分けされただけの部屋に泊まり、トイレとお風呂は共同でしたし、トイレは
今では全く見なくなった汲み取り式でした。

別に中を覗きこむつもりもありませんが、自分の前に使った人の排出した物が
見えているトイレの中で、目に染みるアンモニアと戦いながらトイレに行くと
いうのは、なかなか厳しい体験でしたが、逆にあのような経験があるがために
海外で、思わず一歩引いてしまうようなトイレに行っても、あまり驚くような
ことはなくなっているのかも知れません。馴れは大事です。

知らない人は全く知らないと思いますが、汲み取り式トイレでは鼻に来る臭い
よりも目に染みるアンモニアの方が強烈なんですよね。
それこそ中に何かを落としたら、もうおしまいですから財布とか車のキーとか
緊張感を持ってトイレに行ったものでした。
というようなトイレの話ばかり書いていても仕方ないですね。

部屋は前にも書いたように大きな広間を襖で仕切ってあるだけですから、もし
本当に悪意があるのならば隣の部屋を覗くことだろうが、乱入して強盗を働く
ことだろうが、コソッと忍び込んで荷物を盗み出すことだって可能なんですが
現代よりもモラルが高かったということなのか、旧き良き日本の清く正しい人
だったからか、物を盗まれたなんて話は聞いたことがありませんでした。

今ではどうなのかわかりませんが、以前は民宿と言うと施設面やサービスでは
専業の宿泊施設に及びませんが、料理の質量の面では全く比べ物にならないと
いわれるぐらい、民宿の料理は豪華でした。

私たちのグループは貧乏な基本料金のヒトだったので、特別料理など頼まずに
一泊二食付きの定番料理だったのですが、隣のテーブル(食事は大広間なので
他の部屋の人たちも一緒です)には、大きなハマチやタイの船盛料理があって
豪華なお食事だな~と見ていたわけですが、そのグループの人達は食べるより
飲む方に全力を挙げるタイプの人たちだったので、料理には全く手をつけずに
ご馳走さんと言いながら料理を残してそのまま部屋に帰ってしまいました。

隣のテーブルの大量の船盛料理。
あのまま残してしまっては、もったいないよな~と見ていましたが、民宿の人
は接客で忙しそうで、なかなか料理を片付けません。
どうせ捨てられるのなら、僕たちがゴミ箱になってやろうではないかと考えて
残された刺身や魚の煮つけをいただいて、幸せなゴミ箱になりました。
40年も前のことで、多分、あの人たちは生きていたら80歳から90歳ぐらいに
なっていると思うので、時効ということで忘れて下さい。

その後は民宿を利用したことはないので、今でもこんな飾らない感じでの接客
をしているところがあるかどうかはわかりませんが、豪華なホテルや旅館とは
違ったサービスも、意外に良かったよねと今になって思ったりします。


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