安曇野できれいな水と空気に触れてきた -6 [トラベル]
を歩いていると木々の向こう側に古びた電車が見えてきます。
「窓ぎわのトットちゃん」で書かれているトモエ学園は、廃車になった電車の
車両を教室として使用していたということで、そのイメージを具現化したのが
トットちゃん広場にある電車の教室です。
小学校を1年生で退学になった(その経緯については「窓ぎわのトットちゃん」
の中で説明されています)後、転校というか編入して通った学校がトモエ学園
という学校で、自分の好きな教科から勉強に取り組んだり、小学生の話を丁寧
に聴いてくれる校長先生がいたりという、全く合理的ではない学校なんですが
「君は本当はいい子なんだよ」と毎日、声をかけて一人一人の子供を一人の人
として尊重する素晴らしい学校だったということが書かれています。
「努力が足りない」「他の誰かよりも遅れている」「〇〇が悪い」と小学生が
言われ続ければ、委縮してしまい、自分に自信を無くして、自分自身の個性を
否定的に考えるようになってしまい、自分が愛されていないと考え、他の人を
愛することも出来ない、大人になってしまうかも知れない、そうならないため
の教育に取り組んでいたトモエ学園の精神を伝えていきたいという美術館長の
黒柳徹子さんの思いが、トットちゃん広場にはあります。
電車の中には教室と図書室が再現され、教室の中には入れませんが図書室では
窓ぎわのトットちゃんなどの蔵書を読むことも出来ます。
実際に授業の様子が再現されているわけではないので、本の内容を思い出して
自分自身の中のイメージとすり合わせることが必要ですが、画一的な教室内で
35‐40人の児童と見方によっては先生から、どれだけ良い子だと評価されるか
を競うようなのが現実的な学校生活と比べたら、自主性や協調性を自分自身の
体験から学ぶことになるので、とんでもなく自由奔放な子になるリスクは多少
はあるかも知れませんが、自ら考えて個性を伸ばす要素は大きいと思います。
教育委員会とか、文部科学省の指導要領とかに縛られて、現代の教育現場では
トモエ学園のような教育方針を掲げることは難しいことは理解しますが、本当
に個性豊かで、知識を学ぶだけでなく、人としてどうあるべきかを学ぶ機会を
作ることのできる教育の場を作ることは重要なことだと思います。
普段は、そんなことを考えることなんてありませんが、ここにきて電車教室を
見て、蔵書を読んで展示されている教室を見ていると自然に頭の中に浮かんで
くるようになるので、トットちゃん広場は不思議なところです。
他に公園の中には、いわさきちひろさんが1966年に長野県信濃町の黒姫高原に
建てた山荘(アトリエも兼ねている)が復元されています。
ほんの数時間の滞在でしたが、ここは本当に別世界のように居心地の良い場所
なので、また時間を作って来たいと思っています。
きれいな空気ときれいな水に触れて、きれいな景色を見られてきれいな心から
創り出された作品を見て、生きてて良かったと思える場所です。
他に絵本作家の黒井健さんの美術館が清里にあることを知ったので、来年半ば
ぐらいまでには見に行きたいと思っています。
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