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日本から絶滅した動物・東京国立科学博物館 [動物・ペット・虫の話]

遠野の話を書いていて思い出しましたが、上野公園にある東京国立科学博物館
には、日本に棲んでいて絶滅した動物の骨格標本が展示してあります。

有名な絶滅した動物としては、ニホンオオカミとニホンカワウソが展示されて
いますが、ニホンオオカミは1905年に奈良県で、ニホンカワウソは1979年に
高知県で目撃されたのを最後に絶滅したと考えられています。

ニホンオオカミらしき生き物の死骸が発見されたことがありましたが、皮膚病
で毛が抜け落ちた野犬だった、と公式見解が出され、ニホンカワウソの場合も
高知県の川を泳いでいるところを目撃した、という情報がありますが、正式に
ニホンカワウソだと確認されたことはありません。


遠野物語を読んだことのある方なら、あの物語の中に河童よりも多く登場する
生き物としてオオカミの話がいくつかあることをご存知かと思います。

遠野物語の中ではオイヌと表現されていることもあり、馬に荷物を積んで山を
移動していたら200-300頭のオオカミの群れが後を付けてきたので、火と縄で
結界を張って朝まで過ごしたとか、オオカミの真似をしたらずっと後を付いて
きて朝になったら厩の馬7頭が食い殺されていたとか、山の恐ろしい生き物と
して書かれています。(他には猿とかキツネ、大男や天狗も怖い存在です)

kahaku-2.JPG

ニホンオオカミは、日本各地では山の神として畏敬の対象となり、狼の語源は
大神とされるほどに、人間の生活に恩恵をもたらしてくれる存在とされていた
わけですが、遠野では人の暮らしの糧である馬を食い殺す害獣として伝わって
いる理由はなんなのか、一つの仮説としては以下のように考えています。

ただ、遠野物語においてもオオカミが人を襲ったという話は、1話のみなので
基本的には山の神の化身的な存在として、食い殺される怖さよりもオオカミを
怒らせることによって人々の生活を破壊される(馬が殺される)怖さがあって
危険を感じたら結界(自然神的な存在のオオカミを寄せ付けない)を張るなど
の対応をしていたのだと思います

ではオオカミは何故、絶滅してしまったのかですが、最大の要因は狂犬病だと
いう意見が支持されています。【断定されているわけではありません】

狂犬病によって病死したオオカミが大半だと思いますが、狂犬病で獰猛になり
人を襲うようになったために、オオカミを見たら殺すという判断が当たり前に
なり、絶滅にまで追いやられたのではないかという見方です。

オオカミが棲まなくなった山は生態系のバランスが崩れて、鹿や猪の生息数が
大きく増えてきていることから、日本の山に海外からオオカミを導入して山の
生態系バランスを復活させようというグループもいますが、机上の想定以上に
オオカミが増えたらどうするとか、その辺りの解決策を決めてからにしないと
日本のオオカミは、人間の仕業で二回絶滅したなんて話になりかねません。
慎重に検討するべき問題だと思います。

次に日本に棲む絶滅したとされている哺乳類の中で、唯一、もしかしたら僅少
かも知れないけれど四国のどこかで生息しているかも知れない、と希望的観測
の目で見られているのがニホンカワウソです。

kahaku-1.JPG

河童伝説の本場として知られる遠野だけでなく、日本各地に伝わるカッパ伝説
の元になった動物は、ニホンカワウソが最有力とされているわけですが、頭に
お皿は乗っていませんし、直立歩行するわけでもないので、水中を素早く泳ぐ
ニホンカワウソの様子を見た人が河童だと言い始めたかもしれません。

同じ推測なら、バカバカしいと思いつつも宇宙人説(新生物説)の方が遥かに
それっぽいような気がしますが、これまた全国各地にあるカッパのミイラは腕
はサル、頭の皿は加工品、頭部はネコなど、と各種の動物の死骸を繋ぎ合せて
干し上げたイミテーションばかりなので、河童は絶滅してしまった新生物でも
なければ、ニホンカワウソでもないということで昔の人は創造力が豊かだった
ようですね、という見方を一つの結論にします。

という話はともかくとして、高知の川でカワウソを見たという話は、約40年前
の昭和の後半頃ですから、ニホンカワウソは明治時代からの毛皮目当ての乱獲
と河川の汚濁や河川の周辺環境の整備(コンクリート護岸工事のために川岸に
巣を作れない)が原因で、残念ながら絶滅したのは間違いないでしょうね。

一時期、お風呂でコツメカワウソを飼うのが流行りましたから、もしかしたら
飼育放棄されたコツメカワウソが、川からひょっこり顔を出して、40年振りに
カワウソを発見なんてニュースが流れるかも知れません。


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リス太郎

う~ん、おもしろい。
by リス太郎 (2023-07-06 08:53) 

JUNKO

機会があったらぜひ見に行きたいです。
by JUNKO (2023-07-06 17:13) 

青い森のヨッチン

一匹狼なんて人のことを形容する言葉もありますがオオカミのイメージの共有があってこそ伝わる表現ですよね
実際には絶滅した生き物のイメージが今でも伝わって残っているというのはやはり特別な存在なのでしょう。
by 青い森のヨッチン (2023-07-06 17:21) 

suzuran

リス太郎さん:
コメントありがとうございます。
by suzuran (2023-07-06 23:01) 

suzuran

JUNKOさん:
コメントありがとうございます。

同じ場所に南極観測に同行したタロとジロ、忠犬ハチ公の剥製もあって
国立科学博物館の常設展の中では、一番好きなコーナーです。
by suzuran (2023-07-06 23:03) 

suzuran

青い森のヨッチンさん:
コメントありがとうございます。

オオカミは元々、大きな群れは作らないで家族単位で行動するらしいので
遠野物語の中でオオカミとされている言い伝えの主は野犬ではないかと
いう説が現実的のようですね。野生動物は病気になったり、怪我をすると
群れを離れて死に場所を求めて彷徨うということで、はぐれ狼の実情は
弱って獲物を取れなくなった老狼ですが、人間は生身で武器を持たない
ということを知っていたので人を襲ったのではないか、だから一匹狼は
怖いという言い伝えが残っているような感じですね。

里山に鹿が増えすぎて困っているので、海外からオオカミを輸入して
山に放すという案が出ては消えていますが、人が自然をコントロール
すること自体が間違っていると思うので、実際にそこにいない動物を
山に放すことに賛成は出来ません。

by suzuran (2023-07-06 23:15) 

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