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萩原流行さんの出世作・蒲田行進曲 [シネマクラブ]


警察車両に進路を妨害され、バイクで転倒したところを後続車にひかれて
心臓破裂で亡くなった萩原流行さん。

冷酷な悪役もコミカルな役柄も演じること出来る、貴重な役者を亡くした
ことに芸能界のいろんな人達が気付いたようですが、時既に遅しです。

その萩原さんが、劇団つかこうへい事務所で活動をしていた時に、同僚の
風間杜夫(銀ちゃん)、平田満(ヤス)などと一緒に出演したのが松竹と
角川春樹事務所が製作した「蒲田行進曲」でした。




ギンギラの派手な車を乗り回し、女優を手玉にとって大物俳優を気取った
銀ちゃんが、実は相当の小心者であり大部屋俳優の取り巻き連中に何かと
盛り上げてもらわないと自分に自信を持つことすら出来ないダメ男という
設定に、まずは笑える映画ですが、その後の展開でアクションあり人情劇
ありの日本映画の面白さを凝縮した映画だと思っています。

名もない大部屋俳優で命がけのスタントを何本も掛け持ちしないと、自分
の奥さんとの生活費も稼げないヤス。

kamata.jpg

その窮状に応える形で、高額の仕事を殆どヤスに振り分けているシーン等
見過ごされてしまうような小さな場面を丁寧に表現して、さりげなく人情
を感じさせてくれる演出に温もりを感じますし、スタントシーンでは当時
もっとも派手なアクションを演じていた千葉真一、真田広之、志穂美悦子
が、それぞれに迫真の演技を見せてくれるサービス振りに監督と俳優たち
との信頼と絆を感じて、映画を愛する人たちが映画を作っている、という
印象を非常に強く感じた映画でもありました。

語り継がれる階段落ちシーンは、当時、高校の演劇部にいた私が後輩達と
真似をして、今でもしっかりと演劇部時代の思い出として残っています。

言葉は荒くても他人を思う気持ちをそれぞれが共有し、誰一人として悪役
がいない、そしてまた誰一人として死なないのに心から感動できる映画は
そんなにあるものではないと思いますので、私はこの映画が大好きです。

若い世代の方には理解できないかもしれませんけどね。


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