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西伊豆に春を探しに -3 [トラベル]

土肥金山の坑道を歩いた話の続きです。
坑道の途中には大きな風車を回す人がいて(実際には風車は回っていませんが
風車を回す役割はあったようです)坑内へと空気を送風しています。
総延長100kmにも及ぶ地下ですから、当然、奥に行くほど酸素は薄くなるので
風車を回して酸素を送っていたようです。

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が、大体において日本では事故が起きてから慌てて対応するというパターンが
常態化していますから(21世紀の今になっても政治家の世界では、全く進化も
しないで裏金工作なんてしている腐れはてた状況です)多分、この風車を常時
回転させて空気を送るようになるまでには、何人かの人が酸欠で命を落として
いるのではないかと想像しました。


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この空気を送っている坑内で、切り崩された鉱石を集めていたのが三蔵さんと
おいちさんでした。どうして三蔵さんとおいちさんなのかの説明はなく、二人
の関係についても想像に任せる感じになっていました。
この鉱石を坑内から搬出して、細かく砕き、さらに石臼で粉状にした後で水の
中に入れると金は重いので沈むために金だけを抽出することが出来ます。

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坑内という狭くて暗くて空気の淀んでいる作業環境なんですが、女性の労働者
もある程度は働いていたようです。他の仕事と比べた場合、坑内で落盤や崩落
のリスクが高い分だけ給金も良かったのでしょう。

更に進むと風呂場があり、キセルを咥えたおじさんと団扇を持ったおじさんが
ふんどし一丁で休憩中のご様子でした。

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金山周辺は温泉が出ますからね、坑内でも穴を掘り進めば温泉が出たと思われ
その湧出した温泉を溜めれば源泉かけ流しの温浴場になりますから、労働者が
退社する前に温泉に浸かるというようなことはあったのでしょう。
但し、混浴だったのかは定かではありません。

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女性が入浴しているのは温泉に来た観光客向けのサービスでしょうね(笑)

集められた鉱石は荷揚堀子と呼ばれる運搬担当者が背中の袋(わらで作られた
むしろ袋)に五貫目=約19キロを詰めて、抗外まで運び出していました。
現在のように電気の照明はなく、植物油のランタンを持って歩いたということ
なので、相当の重労働だったと思います。

toi_kin19.jpg

ちなみに坑内の灯りは全て植物油を使って灯していたようです。
鉱物油や動物性の脂はすすが出て、坑内の空気を汚すのでなるべく空気を汚す
ことのないように植物油を使っていたという説明が流れていました。

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坑内で鉱石を切り出すのは、のみとハンマーによる人力です。
1日に掘り進むことが出来るのは3センチだったか、30センチだったか正確に
記憶がありませんが、人の身長以上の面積なので約2m×横幅2mとして4㎡に
なるので、それだと3センチ前進するのが精一杯かなと思います。

左上の赤っぽい部分が鉱石で、金や銀と共に鉄分も含まれているので、それが
酸化して赤っぽい色になり、金属が含まれていることを示しています。

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ということで、坑内の見学は終了になります、所要時間約30分。
想像していたよりも詳しく説明されていて面白かったです。

この後、黄金館(名前がベタで良いですね、気負いも洒落っ気もありません)
館内には金の含有量が1トンに600gという超優良な鉱石などが展示されていて
こちらも普段あまり見られないものが見られて良かったです。

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金の延べ棒がガラスケース内に展示されていて、穴が開けてあるので直接手で
触れることが出来ます。(真横にガードマンが立っています)
かなり重いので、これをガシッと掴んで逃げられるような怪力&俊足の人物が
実在しているとしたらガードマンの意味はないでしょう。

toi_kin23.jpg

この隣にはギネス認定と銘打たれている250kgの金塊があります。
これも触れることが出来ますが、どんな力技を使っても持ち逃げできるわけが
ないので、ガードマンからは離れた場所にあります。

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触っても金だから温かいとか、パワーを感じることは無く、普通に冷たい金属
の触感を感じられるだけです。

この金塊は20年前に購入されて、購入当時は4億円だったのに20年後の今では
時価20億円まで金価格が上昇しているようで、お金のある人が金に投資をして
特に何もしなくても勝手に資産が増えていくのに対して、普通に余裕資金など
ない人は一念発起して金に100万円を投資してもせいぜい500万円までという
現実を確認することが出来ました。100万円の余裕資金もありませんけどね。

ということで、なかなか有意義な時間を過ごすことの出来た土肥金山でした。
もしも、廃坑になった金山から金だけを抽出できる特殊な技術が開発出来たら
まだまだ、この金山からでも数トンレベルの金は出てくるんじゃないのかな。
なんてことを思いましたが、金価格がさらに上昇してコスト的に採掘が可能に
なったら、数十年後には日本のエルドラドになっているかも知れません。

toi_kin25.jpg

春を探す方向とは若干のずれがありましたが、西伊豆まで春を探しに行った話
はここまでで終了です。


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コメント 4

溺愛猫的女人

>数十年後には日本のエルドラドになっているかも知れません。
うわぁーまさにエルドラド°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
by 溺愛猫的女人 (2024-02-12 11:04) 

ヨッシーパパ

佐渡の金山と、石見の銀山には行きました。
ダイビングに行ったことのある土肥に金山があったのですね。
知りませんでした。
by ヨッシーパパ (2024-02-12 18:42) 

suzuran

溺愛猫的女人さん:
コメントありがとうございます。

エルドラドと言えば、日本近海には数十万トンのメタンハイドレートの
天然ガス田があるので、十数年後には日本は天然ガス輸出大国になって
原発も不要になり、天然ガス火力発電で電力も安泰なんてことをドヤ顔
で喋っていた資源エネルギー庁とか、関連省庁の態度だけ立派な間抜け
がいましたが、衰退する日本を象徴するかのように円安ばかりが進む
状況にありますね。日本の鉱床はどうなったのでしょうね。
妄想ばかりの政治家や官僚なんて要らないですよ。本当に。

やっぱりシフトチェンジが出来るのは若い人の知恵と活力でしょうね。
それこそ若い研究者に潤沢な資金を提供して、本気で取り組んでもらう
ようにすれば枯渇したはずの金山から金が採れるかもしれません。
by suzuran (2024-02-13 00:47) 

suzuran

ヨッシーパパさん:
コメントありがとうございます。

土肥温泉も土肥金山を開発していた時に湧出して、金の取引の商人とか
全国から働きに来た労働者を相手にする旅館や飲食店、遊郭(昭和の頃
温泉地には、ほぼ確実にストリップや秘宝館などがありました)などで
土肥の街は発展したみたいですよ。

今では温泉を目的にした人とマリンスポーツ関係の人の保養地みたいに
なっていますが、金山がピークの頃の資料もありました。

by suzuran (2024-02-13 00:53) 

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