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崖っぷちの競走馬がレコード勝ち [競馬]

JRA(日本中央競馬会)所属の競走馬は、2歳の6月から新馬戦が始まり成長の
早い馬から順次、競馬デビューをしていきます。



6月にデビューして夏の重賞で勝って賞金を稼いだら一度放牧に出して休養し
12月に開催されるホープフルステークスや朝日杯フューチュリティステークス
ジュベナイルフィリーズなどのGⅠレースに挑戦するパターンが早熟型。

秋以降にデビューして、目標は翌年のクラシック初戦になる桜花賞や皐月賞で
実績を上げて日本ダービー、オークスに勝ち、夏は休養、秋の秋華賞や菊花賞
でクラシック1冠だけは勝ちに行く場合もあれば、3冠に挑戦の場合もありと
いうパターンが一般的な他、3歳になってから新馬戦でデビューして秋以降の
クラシックを目標に仕上げて、ジャパンカップや有馬記念などの王道を目指す
晩成型とか、成長の状態によっていろいろな方向に進むわけです。


と簡単に書きますが、新馬戦で勝てなかった場合は未勝利戦に出走して、まず
1勝は挙げないと基本的には次の段階には進めませんから、2歳のうちにクラス
を上げられなかったら、次は3歳未勝利戦に出走して1勝を目指します。

が、未勝利戦は3歳の9月第1週で終了してしまうので、それまでに勝てない馬
はJRAには残れません。ルール上は「3歳以上1勝クラス」のレースに出走は
可能ですが、ゲートの数は最大18頭なので獲得賞金順だと枠に入れない場合も
当然ありますし、一度でも勝った馬との差は大きいので勝つのは難しいです。

ということで、平地レースから障害レースに主戦場を変える、というやり方も
ありますが、平地で速く走れないのに障害を飛び越えることなんて出来るの?
という疑問はありますよね。徒競走で勝てない子が障害物競走だと異常に速い
なんてのは漫画の中ではあるかも知れませんが、普通は無いです。

そんなわけで障害レースに移っても勝てなければ、地方競馬(地方競馬の経営
はあまり順調ではないところもあるので、転職先が少なくなりつつあるという
現実はあります)に転出するか、乗馬クラブなどの民間の施設に再就職するか
ということになりますが、1年間でデビューする競走馬の頭数に対して現実は
厳しいというのが実際のところです。

1年間で生まれる競走馬は約7,000頭。
馬は繊細な動物なので、競走馬としてデビューする前に病死したり骨折などの
事故によって死んでしまうため、1,000頭ぐらいが2歳までに死亡します。
残った馬の中からJRAの新馬戦、未勝利戦で勝ち上れるのは約2,000頭です。
地方競馬に移ることが出来る馬、乗馬クラブなどに移ることが出来る馬を合算
しても1,000頭にもなりませんから、残念なことに表現としては引退して乗馬
になりますが、実態は殺されてしまうのが大半です。

資本力のある大きな牧場や馬主さん、有力ジョッキーの中には引退後の競走馬
の余生を見守る事業に出資している人もいますし、牝馬で良血の血統を持った
場合は繁殖牝馬として牧場に帰る馬もいますが、それでも全ての馬を助けると
いうことまでは出来ていないのが現状です。

という厳しい生存競争の競走馬の世界で、9月まで後二か月の間に勝ち上がる
必要のある未勝利馬の中から、7月3日の小倉競馬場で凄いことが起きました。



小倉競馬場の第3レース、芝1,800メートルの未勝利戦に出走した、エスコーラ
が、1分43秒8の日本レコードで優勝しました。
小倉競馬場のコースレコードではなく、2014年に京都競馬場で記録された日本
レコードなので、今後しばらくは破られないであろう大記録です。

父がディープインパクトで、母がサロミナでノーザンファーム生産という良血
のエリートで、馬主さんは社台グループのノーザンファーム代表の吉田勝己氏
の奥さんの吉田和美氏で、過去にキンシャサノキセキやモーリスなど種牡馬に
なっているGⅠ勝利馬の馬主でもありました。

逆に言えば超良血なのに何故、新馬戦で勝てなかったのかが不思議なんですが
一つ勝ったことで、今後のGⅠへの挑戦権も得られたということですね。
半年後には天皇賞・秋で優勝しているかも知れません。

というぐらいの有能な競走馬でも、もしも運悪く、後二か月以内に勝てないと
いうことになれば地方競馬に転厩して、二勝できればJRAのレースに復帰可能
ですが、地方競馬はダートレースなので芝的が強ければ、それも叶わないこと
になるので、少ないチャンスをものにできる馬でないとGⅠに出て勝つなんて
ことは難しい世界なんだと再認識させられる出来事でした。


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青い森のヨッチン

今住んでいる青森の南部地方は古代から名馬の産地で有名です。
町の中にも育成牧場があるけど最近はあまり情報がないから止めたのかなぁ
ジョッキーのたまごも育てていると地元のニュースで取り上げられていたこともあります。
上から見るとちゃんと競馬場のようなコースがあります。
某有名人の愛馬も飼育されていました。
今日のブログはダビスタで遊んでいたころを思い出させてくれる内容でした。
by 青い森のヨッチン (2021-07-09 09:25) 

suzuran

青い森のヨッチンさん:
コメントありがとうございます。

馬産地というと北海道の日高地方(浦河、静内、新冠)と、社台グループが
一般的には知られていますが、最近はコントレイルを生産した鳥取県の
ノースヒルズとか、九州のヨカヨカなど全国的に競走馬が活躍する牧場が
増えていますね。青森県の牧場とか、宮城県の山元トレセンなど東北でも
競走馬の生産・育成は盛んに行われていて身近な存在かも知れませんね。

育成牧場だと、最近はダートコースだけでなくウッドチップコースや
坂路などの調教コースも備えて、厩舎に入厩するまでに一通りの調教が
進められているのも日本調教馬が世界で活躍する原点かも知れません。

最近は「ウマ娘」がヒットしていますが、マヤノトップガンとか男馬の
名前で娘たちが走っているのに違和感を感じてついていけません。

by suzuran (2021-07-10 02:52) 

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