代表作のひとつとされる故・野坂昭如氏が原作を書いた「火垂るの墓」は
ほぼ毎年の8月15日終戦記念日の前後に放映され、戦争の悲惨さを後世
に伝える役割を担っていると思っていますが、安倍晋三内閣になってから
自民党は戦争を出来ない国から戦争が出来る国へと憲法の読み替えをして
世界の平和に貢献するという言葉とは裏腹に、世界の紛争地へと自衛隊を
派遣する法律整備に邁進しているのが非常に気になっているという状況に
あることから、高畑監督には「火垂るの墓」のように反戦以上に、戦争を
嫌い、戦争を絶対悪として描いた映画を作って欲しかったです。
「アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」などの名作アニメを
手掛け、スタジオジブリでは「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦」などの
ただ空想上のストーリーを楽しむアニメではなく、その時々の社会問題や
田舎の跡継ぎ問題などを織り込んだ社会派監督でもあった高畑勲さんは、
最後の作品になった「かぐや姫の物語」では、これまでの監督経験を総括
するように手書き調のアニメーションや水墨画のような淡色の色彩を表現
してアカデミー賞の長編アニメ部門にノミネートされました。
受賞は逃したものの、世界各国で毎年製作されるアニメーションの本数を
考えたら、五本の作品にノミネートされるだけでも並大抵のことではない
わけですから日本のアニメーション作家として大切な人が逝ってしまった
事実は厳粛に受け止めなければならないと思います。
宮崎駿さんが盟友の死去に伴い、創作意欲を無くすようなことになるのも
心配ですが、まずは高畑勲監督のご冥福をお祈りいたします。
スタジオジブリの高畑勲さんが逝去
- シネマクラブ