現在、人が亡くなる原因として知られる病気は脳疾患、循環器系疾患、がんが
主原因とされ、もう少し細かく見ると脳疾患としては脳梗塞、くも膜下出血を
含む脳内出血で、血管が詰まる脳梗塞よりも脳内に出来た血管のこぶが破れて
大出血を起こす脳内出血の方が救命率は低くなっています。
循環器系では心臓に近い大動脈が詰まる心筋梗塞、大動脈に出来たこぶが破裂
する大動脈瘤破裂、三層になった血管の中層との境界が裂けて血液が逆流して
心膜の中に血液が溜まり、心臓の動きを止めてしまう心タンポナーデを起こす
解離性大動脈瘤など、そして腹部大動脈瘤破裂という病気もあります。
全身に血液を送り出す重要な臓器である心臓が止まるわけですから、救急性は
極めて高く、時間と運が良ければ助かる病気と言えます。
がんは今更、説明するまでもなく胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がん
子宮頸がんなどが、割と発生頻度が高いとされていますが、血液のがんである
白血病も克服されていないのが現実で、今年になって自分自身の周囲で肺がん
で入院中に急変して亡くなった人、白血病で骨髄移植と臍帯血移植と、二回の
根治治療を行ったにも関わらず亡くなった人がいます。
というように医学の進歩は日進月歩どころか、分速、秒速で進んでいるとさえ
言われている世の中でも人の命を救うことが出来ない例は数多くあります。
そんな深刻な病気ではないものの、本人に自覚がないまま行動してしまう病気
というのも厄介なもので、有名なところでは夢遊病という病気があります。
専門用語では睡眠時随伴症という病名で、一般的な例としては寝ている状態で
車の運転をしたり、何か食べたりするなどの行動がよく知られているのですが
中には本人に自覚がないまま性行為を行なうケースもあって、相手が非合意の
場合や相手を身体的に傷つけてしまうなどのトラブルへと発展する事例も報告
されていて、一般的な夢遊病とは区別してセクソムニア(セックス夢遊病)と
いう病名で呼ばれています。(正式名ではありません)
実際に報告されている例自体は少ないものの、実際に本人に自覚がないままで
症状が出ている事例は報告数をはるかに上回ると推測されていて、当然、日本
でもあるはずですが、公表されている事例はありません。
なぜ、そういうことが起きるのか?ですが、深い眠りに入っている状態の時に
なんらかの原因によって体を動かす領域だけが覚醒して、重要な思考・判断を
つかさどる領域は眠ったままの状態で体だけが独り歩きするため、歩行や食事
セックスなど、原始的な機能(五大欲求=本能)だけが欲求を解消するために
動いてしまうというのが簡単な理由と推定されています。
割と聞く話で「金縛り」という事象がありますが、これは夢遊病とは真逆な形
で、脳の理性・感性の部分だけが目覚めて、体を動かす領域が寝ているために
体を動かそうとしても動かせない状態になるため、悪霊による心霊現象により
金縛りにあうという尾ひれがついて伝承されてきたと考えられています。
時には、この説明では納得できない「金縛り」があることは、実際の体験者と
して経験しているので、100%が逆夢遊病だとは思いません。
その話はともかくとして、夢遊病の原因の一つとして睡眠不足によって疲労が
蓄積していたり、アルコールの飲みすぎなどの時に、体だけが動いて脳は寝る
という状態になりやすいようですので、普段から睡眠時間が短く疲れが残ると
感じている人や飲酒の機会が多い人は本能のおもむくままに、近くにいる女性
を性欲の対象としてしまう危険性があります。
アメリカでの報告では、本能のままに異性とのセックスに進むため、予期せぬ
妊娠をしたとか、相手に怪我を負わせたり(男性が女性を対象にする例ばかり
ではなく逆の例もあります)、無理な態勢で関係しようとしたために男性器が
折れたりというケースもあるので、目覚めた後で機能障害が残る場合もあって
身体に傷が付くこともあれば、いろいろな意味で双方の心が傷付くとか、死ぬ
ことはなくても、今後の人生に大きな影響が出かねないこともあります。
救いとしては、治療法、治療薬はすでに確立しているので、もし不安な部分が
あれば精神科を受診することで、どんな原因によって問題行動を取ってしまう
のかをチェックしてもらうこと出来ますから、目が覚めた時に自分の体に異変
があった場合は何かあるのかも知れません。
症例は少なくても、世の中にはいろいろな病気がありますね。