私が20代前半だった頃ですからベルリンの壁の崩壊の五年ほど前のこと
なんですが、名古屋で映画を観た時に、同時上映で「楽しい風船旅行」と
いうタイトルの映画を観ました。
当時の名古屋はロードショーでも二本立てが普通でメインの作品と一緒に
あまり注目されていない作品が同時上映されていたのです。
映画は実話をもとにしたもので、西ドイツとの国境に近い東ドイツの町で
一人の青年が国境を越えようとして射殺されてしまい、青年の父親は官憲
に連れ去られてしまうという出来事があり、この事件をきっかけに二組の
家族が秘密裏に熱気球を作り、気球が破れたり余所の家の屋根に当ったり
しながらも国境を超えて亡命に成功するという話です。
実際のところ何も楽しくない生死を賭けた逃避行なわけで、なにを考えて
題名を付けているんだろう?と思いながらも映画の内容自体には感動した
覚えがあります。(スタッフも俳優もドイツ人ではありません)
この映画は、現在では「気球の8人」というタイトルに改題されてDVD
が販売されていますので、気が向いたら買って見てください。
という話はともかくとして、壁を乗り越えたり、気球で飛んだり、列車の
荷物に紛れ込んだりして亡命した旧東ドイツの人たちにとって、壁の崩壊
は感慨深い出来事だったと思いますが、その後の経済の混乱を乗り越えて
EU諸国の中でも、もっとも経済の安定した国になれたのは、東ドイツの
国民も資本主義・民主主義の体制に順応し、ドイツ国民特有の勤勉さから
付加価値の高い商品を高い品質で供給することに成功したからでしょう。
同じように分断国家となっている韓国と北朝鮮は経済格差や思想の違いで
統一することは事実上不可能だと思いますから、東西ドイツの統一こそが
唯一の成功例となるような気がします。
来年はベルリンの壁の崩壊から30年
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