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人間に豚の心臓を移植する手術 [海外の話題]

アメリカのメリーランド大学・医学部で、57歳の男性患者に遺伝子操作をした
豚の心臓を移植する手術を行い、術後の経過は良好だと発表されています。

以前から豚の組織は解剖学的に人間に近いとされていて、自動車の衝突実験の
ダミー(人形)に、豚の眼球を埋め込んで衝突実験を行っている、という話は
以前から知っていました。



衝突した際に、ハンドルやフロントガラスとの衝突やエアバッグが膨らんだ際
の衝撃が眼球にどのような損傷を与えるのかを検証するために、木製やその他
の素材では生体に対する衝撃の程度がつかみにくいことから豚の眼球を使って
衝突させて、眼球が破裂する速度を計測したり、瞬間的に膨らんだエアバッグ
が眼球を傷つけないために、どれぐらいのガス圧が適切なのかを実証した結果
現在のエアバッグが開発されているようです。


豚の眼球が潰れる状況では人間が失明し、豚の眼球に傷がつかなければ衝突で
エアバッグが膨らんで顔面に当たったとしても失明を防ぐことが出来るように
なったのは豚のおかげということになるわけです。

現時点でも心臓弁膜症(心臓の中の血液の流れを、一定方向に整流する機能を
持つのが心臓弁で、この弁に異常がある状態を心臓弁膜症と言います)の弁に
ついては、牛の心臓を包む膜で作ったものや豚の心臓の弁を使用した生体弁が
使われることが多くなってきていて、心臓弁膜症の治療は、牛や豚のおかげで
血栓ができにくく、生きている限り永久にワーファリン(抗凝固薬)の服用を
しなければならない機械弁との置き換えが可能になっているのですね。

というような感じで、心臓弁を活用できるのだから心臓自体も置き換えが可能
という前提で研究が進められていた豚の心臓を使った移植手術ですが、現実的
には実験段階であることは手術を受けた本人も知っていて、心臓移植や人工の
心臓ポンプでは治療できないと宣告されたことから、豚の心臓を移植する手術
に踏み切るしか生き残る道はなかったようです。

豚の心臓に対しては拒絶反応を引き起こす遺伝子や豚の心臓組織が大きくなり
人の心臓の大きさを超える遺伝子も除去されて、その代わりに人の免疫に関係
する遺伝子を6種類挿入したことで、拒絶反応を抑えられるみたいです。



手術をした医師団の見解は、延命効果について1日なのか1週間なのか、1カ月
なのか1年なのかは誰にもわからないということで、実験的な治療であること
は認めていますが、アメリカだけでも心臓移植を待つ人は10万人いて、1日当
17人の移植を待つ人が亡くなっているということで、ドナーが足りない現状で
心臓移植をすることが可能になるためには、今回の手術が未来の患者を助ける
新しい選択肢なることを期待するとしています。

豚の心臓=ハツが心臓病の人の命を救うのに活用できるという話を聞くと焼肉
でハツを食べようとすると、なんだか気が引けそうですね。


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青い森のヨッチン

よく心臓移植すると提供者の生前の記憶が引き継がれるとか話を聞きますが豚だった頃の記憶も再生されるのかなぁ?
by 青い森のヨッチン (2022-01-14 10:54) 

suzuran

青い森のヨッチンさん:
コメントありがとうございます。

鋭い考察ですね。骨髄移植とか、腎臓移植でもドナーの癖が移るという
話がありますから、さすがにブーブーとは鳴かないと思いますが、突然
動物園のふれあいコーナーで、メス豚に心ときめくなんてことがあるかも
知れませんね。
by suzuran (2022-01-14 22:03) 

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