北朝鮮がアメリカ全土を占領する映画 [シネマクラブ]
敵対国として双方が挑発するような状況ではなくなっている韓国と北朝鮮
という感じですが、この映画が公開された2012年当時は金正日総書記
が存命の頃で、北朝鮮は得体の知れない危険な国として、アメリカからも
制裁対象国として危険思想のテロリスト国家とされていました。
ある日突然、突然の停電が起きて、翌朝にはアメリカ全土が北朝鮮に占領
されるという設定の作品で、実際の軍事力を考えたら攻撃型空母も長距離
輸送機も保有しておらず、燃料も満足にない北朝鮮がアメリカの制空権を
確保するなんてことは100%あり得ない話なので、映画として考えても
相当無理のある話だったんですが、約70億円の巨費を投じて映画化され
興行収入が約50億円で大赤字を出した映画です。
元々はソ連がアメリカに侵攻する「若き勇者たち」をリメイクした作品で
当初は中国が侵攻してくる(ソ連は現実に存在しないですし、ロシアでは
生々しいから変更)という設定に変えたようですが、先制攻撃をした挙句
撃退されるというストーリーに中国政府は難色を示したこともあって敵国
の設定を中国から北朝鮮に変えているわけですが、中国はアメリカ企業に
とってもマーケットとして重要なので、国際問題化すると拙いという損得
勘定も当然あったようで、その配慮というか現実の経済関係を想定したら
当然、戦争映画で中国を敵にすることは出来ないため、あまりにも絵空事
な北朝鮮による侵攻という物語になって、観客の関心を得られなかったと
いう失敗に繋がったわけです。(簡単に想定できるはずですが…)
アメリカ、ワシントン州のある町で、北朝鮮の空挺部隊が空から急襲して
戦闘機が飛び交い、装甲車が住民たちを封じ込めて、抵抗する人々は殺害
され、それ以外は捕虜として収容されていく状況になったため、北朝鮮の
兵士から逃れた若者たちが集結し、レジスタンスとしてウルヴァリンズと
いうグループを結成して北朝鮮軍に対して闘いを挑むという話なんですが
素人の若者たちが精鋭部隊に勝ってしまうというのは無理があります。
あくまでも映画なんだから固いこと言うなよ、という姿勢で作ったのかも
知れませんが、どうせあり得ない話なら宇宙人が攻めてきた方が別の意味
で現実的だと思いますし、そういう見方をした人が多かったがために公開
しても不入りになったということで、単純な人が多そうなアメリカでさえ
非現実的だと認定されたのですから海外でコケたのは当然ですね。
予算的には「ジュラシック・パーク」と同じレベルなんで、決して低予算
のB級映画というわけではありませんが、メジャークラスの有名な俳優は
出ていませんし、監督もスタント・コンディネーターやロケの監督などを
していたダン・ブラッドリーという人が初監督作品として演出しましたが
これ以降の作品がないので、大コケをして葬られたという感じです。
トム・クルーズの息子のコナー・クルーズが出演しているというのは話題
の一つのなるかも知れませんが、それ以外には何もない映画でした。
北朝鮮の兵士が徹底的に反撃されるシーンを期待する人には面白い映画と
言えるかも知れませんが、つまんない映画でしたというのが、実際に見た
感想でございます。
この映画はU-NEXTで見ました。
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