現象が起動し始めた頃の話を書いてみましたが、それよりも前に韓国人の
心の叫びを感じたのが白竜の「光州City」でした。
深夜番組で「光州City」を聴いて、翌日にレコード店までレコードを
探しに出掛けましたが、実はテレビで放映された直後から歌は放送禁止。
レコードが発売されることもなく幻の歌になっていたのでした。
放送した途端に一発で発売禁止になった「光州City」とはどのような
歌だったのかと言うと、朴正煕大統領の暗殺後、全斗煥陸軍少将が軍部の
実権を握った末にクーデターを起こし、韓国の民主化を推進する政治活動
に従事していた野党指導者の金大中や金泳三を逮捕・軟禁して韓国全土に
反独裁政権を掲げる市民運動が広がり、その中でも金大中の出身地である
光州市では市民軍が民主化運動の闘士として立ち上がり、戦車などの兵器
を投入した軍と市民が武器を持って戦うという事態になりました。
事件が起きたのは1980年、銃撃されたり銃剣で切られたりして自国の
兵士に殺害された市民は100人を超え、光州事件そのものは僅か9日間
で鎮圧されましたが、光州事件の影響により韓国の民主化運動、市民運動
は大きな力を持つようになり、昨年の朴槿恵元大統領の退陣から逮捕まで
その後押しをした市民のデモは称賛されました。
現在の安倍独裁政権を今のままで放置したら日本も同じことになりますよ。
自らの努力によって民主化を進めたわけではない日本では、国民に主権が
あることが間違いだと主張する西田昌司という自由民主党議員が存在する
ぐらいに民主主義が正しく理解されていないのが実際のところで、韓国の
民主主義と比べたら50年ぐらい遅れていると思います。
この光州事件の実話を題材にして2017年に作られた最新の韓国映画が
「タクシー運転手 約束は海を越えて」です。
そんな感覚を持つことが出来るようになったのは、本名:田貞一が歌った
「光州City」であり、その後もロック歌手:白竜としてメッセージを
ストレートに曲にのせて叫ぶように歌う数々の歌でした。
自主制作版として発売後、音楽市場から姿を消していた「光州City」
は再販され、小室哲哉や元DTBWバンドの千野秀一とスタジオライブで
製作した「アジアン」などのアルバムを発表しています。
現在も歌手として活動はしていますが、Vシネマのやくざの幹部役が主に
なっているのが、個人的には少々残念ですが、人それぞれに必要とされる
役柄とか役割分担がありますから、時には歌手としての白竜を見られれば
それはそれで良いかなと思っています。
まだ若かった頃に名古屋のライブハウスで聴いた白竜は熱かったです。
トラッカー時代の話をしたり、突然姿を消したと思ったら、すぐ横のドア
から客席に現れたりして何十年も前のことですが昨日のことのように強く
印象に残ったライブでした。
また、名古屋でもライブをやってくれないかな。