若くして亡くなった方もいれば、100歳にまであと少しという年齢でも
医師として活躍されていた方もいらっしゃいました。
私が小学生の頃の歌謡曲の曲と言えば、この人の作曲した歌が大半だった
というように記憶しているのが平尾昌晃さん。
特に、五木ひろしさんや小柳ルミ子さんのデビューからの数年は平尾昌晃
さんが作曲した「よこはま・たそがれ」「長崎から船に乗って」「夜空」
「わたしの城下町」「瀬戸の花嫁」「漁火恋唄」などがオリコンチャート
の上位を占めていて、当時小学生だった私が今でも歌えます。
ということで歌謡曲の作曲家として数多くのヒット曲を作り出してきたと
言う面があるのと同時に、平尾昌晃さんの大きな遺産として必殺シリーズ
の主題歌から劇中で流れる音楽まで全ての曲を作っている、という部分も
とても大きな功績だと思っています。
ここでいう必殺シリーズというのはあくまでも故・藤田まことさんが主役
の中村主水を演じていたシリーズまでのことであって、ジャニーズ事務所
の殺陣もまともに出来ないような学芸会の必殺シリーズゴッコではなくて
演出から照明などの裏方まで含めて、映画で培われた本当の映像の職人が
作り上げた必殺シリーズのことです。
表の光と裏の闇を照明で切り分けて、裏の世界(闇の世界)で仕事をする
仕事人を表現して、例え主役であってもわざわざ顔に照明を当てて雰囲気
をぶち壊すことなく緊迫感のある映像作品に仕上げられた必殺シリーズと
タレントが登場するたびに不必要に顔を照らし出して、ジャニーズ事務所
のご意向なのか知りませんが、作品の流れよりもタレントを目立たせると
いうことに腐心するような似非必殺シリーズでは格が違います。
平尾昌晃さんの曲は今でも使われているようですが、役者の登場する作品
には最適な音楽も、タレントがチャラチャラと出てくる作品では合わない
と思うので、もっとチャラい音楽に変えた方が良いと思いますよ。
プロの役者と映画で鍛えた職人が作った必殺シリーズを、哀愁と緊張感の
ある音楽で盛り上げたのは間違いなく平尾昌晃さんの功績です。
逆に言えば、平尾昌晃さんの曲がなければあれだけの長い間、シリーズが
続いたのかは難しかったかも知れません。