原子力規制委員会が原発事故の収束に尽力している作業員の被ばく線量の
上限について、現行の100ミリシーベルトから、さらに引き上げるため
内部で検討することを決めたようです。

現在の100ミリシーベルトは、一般の人(1ミリシーベルト/年間)の
約100倍に相当する値なわけですが、原子力規制委員会の田中委員長は
原発事故発生直後の250ミリシーベルトどころか、国際的な基準として
500ミリシーベルトという数字もあると海外の事例を挙げて、上限値の
引き上げを行なうことに前向きなようです。

国際放射線防護委員会の推計では、100ミリシーベルトあたり、生涯の
がん死亡リスクが約0.5%増加するとされていますから、単純に現行の
500ミリシーベルトなら、がん死亡リスクは2.5%となり、現在より
5倍の危険性になるわけです。

委員の一人は「国際的に恥じないよう、しっかりと議論する必要がある」
と言っているようですが、この恥という言葉は何に対してなのでしょう。

原発の作業員が被爆しても問題のない数値を低めにしていることは海外に
対して恥だと考えているということなのでしょうか?

そのような委員の暴論があるのなら議論などする必要はありません。
規制委員会の委員を、100ミリから1000ミリシーベルトの範囲内に
委員を住まわせて、半年毎に健康チェックをして影響度合いを調べた上で
5年以内に体調不良、もっと言うなら死なない被ばく線量を導き出せれば
良いと思いますが、委員たちはどう感じるのでしょう。

机上の論理ではなく、実際に自分たちの体で安全性を確かめてから国民の
安全基準を緩めるのなら納得性もありますが、自分たちは決して放射線に
当たらない場所で放射線の安全性を語るなんてバカなことはありません。

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中川 恵一


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