いわゆる旬の時期は過ぎましたが、雑誌ではありませんから流行が云々と
いうものではないという視点で、神様のカルテについて書きます。



嵐の櫻井翔さんと女優の宮崎あおいさんが共演した映画が公開されていて
週間ビッグコミックで漫画化もされていますから、題名自体は知っている
という人は多いのではないかと思います。

現役の医師が書いた小説ですから、テレビドラマでよくやっているような
現実感のない医師同士の確執とか看護師との職場恋愛などの描写はなくて
長野県松本市の病院を舞台に淡々と、でも内容は濃く深く、高齢者の医療
とか終末期医療などを取り上げながら話が進んでいきます。

山岳写真家の奥さんや古いアパートに住んでいる個性的な隣人たち、病院
の上司や看護師の同僚とのエピソード等、実際の仕事の中で経験したこと
をモチーフにしているのかな?なんて思いながら読み進み気付いた時には
本一冊が終わっているという感じの小説で読みやすいですし、小説を元に
石川サブロウさんが漫画化したコミック本だとさらに読みやすいです。

医者は自分の時間を求めることは間違いなのかとか、死にゆく人に対して
延命治療をすることの価値とか、そんな根本的な問題を通して誰にも必ず
訪れる死をどのように受け入れるべきか、また見送ることが良いのかを、
考えるきっかけの一つになる本だと思って知識や知恵を蓄えるのではなく
自分自身の存在を感じながら何度も読み返しています。

神様のカルテ 1 (ビッグコミックス)
石川 サブロウ


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