以前はホラー映画と言えば「夏の風物詩」でしたが、最近では季節に全く
関係なく針先で神経をチクチクと刺激してくるサスペンスホラーのような
タイプから派手に鮮血のほとばしるスプラッタータイプまで、いろいろな
ホラー映画が上映されるようになりましたね。
私が月に7-8本の映画を観ていた頃にホラーの鬼才とか、新星と呼ばれ
注目されていたのがトビー・フーパー監督でした。
トビーフーパー監督のデビュー作は「悪魔のいけにえ」で電動ノコギリを
振り回しながら理由も何も関係なく、手当たり次第に人を切り刻んでいく
みたいな内容で、怖いと言うよりはグロテスクに近い感覚の映画でしたが
低予算ながらも大ヒットということで、次に任されたのが「悪魔の沼」で
この映画には100万ドル(当時のレートで約3億円)の予算が付きました。
日本映画でも今では3億円程度の予算は珍しくもありませんが、悪魔の沼
のように、怖い映画を撮れる監督がいるかと考えると難しいのではないか
と思ったりしますが、これからの若い感性に期待したいところです。
この「悪魔の沼」は、立ち見で映画館がいっぱいになるほどの盛況でした
が、ちょうど私が見に行った日には映画を見ていた男性がバタンと倒れて
周囲の人達がエッサエッサと担ぎ出していく光景を目の当たりにした時に
映画を見て人が倒れることって本当にあるんだと思った記憶があります。
この映画の原案になった事件では、モーテルの主人がワニに食い殺された
結果を受けて、警察がワニを捕獲し池をさらったところ、池の底からは、
食べかけの肉片や多数のメガネ、歯などがザクザクと出てきて、正確には
何人殺されてワニの餌になったのかわからなかった、ということになって
いたような覚えがあります。
この映画によってトピー・フーパー監督の評価は高くなり、ファンハウス
(惨劇の館というサブ邦題あり)を撮影し、スティーブン・スピルバーグ
監督に見染められて、ポルターガイストの監督を任されたことでホラーの
巨匠へと成り上がりました。
ちなみに、ポルターガイストをダビングしたら、それまで全く問題なしで
動いていたビデオデッキが突然動かなくなって二万円の修理代がかかって
なんてこった、という事件が起きたので、それからはホラー映画の複製は
一切しなくなったという個人的に曰くつきの映画です。