２０１４年に刑務所を出所してから、薬物依存者向けの更生施設（ダルク）で
スタッフとして勤務し、五年以上も薬物依存から遠ざかっていて、２０１８年
には、元シャネルズ（ラッツ＆スター）のメンバーとファンに向けて、後悔と
謝罪の気持ちをツイッターで表明するぐらいにまで落ち着いてきていたような
報道がありましたが、どこでどのように道を踏み外してしまったのか今年の夏
に宮城県塩釜市の宿泊施設と東京都世田谷区内で覚せい剤を所持していた疑い
ということで覚せい剤取締法違反の疑いで宮城県警に逮捕されました。
そもそも発覚した原因が、塩釜市の宿泊施設の従業員から変な忘れ物があると
いう通報があり、忘れ物の中から覚せい剤が見つかったというもので、もはや
自分の持ち物を隠そうとか、そういう普通の感性も鈍ってしまっていたという
ことなのかも知れません。
宮城県警が宿泊名簿から田代まさしの名前を見つけ出し、逮捕状を請求した上
で東京都杉並区内で田代まさしを見つけて、所持品の中から覚せい剤を発見し
現行犯で逮捕されたということで、常備していたということのようですからね
逮捕されても、だからなに？みたいな感じなのかも知れません。
元々は２０００年に都内の駅構内で女性のスカート内を盗撮した疑いで東京都
迷惑防止条例違反で書類送検されたのが犯罪歴のスタートでしたが、その後も
２００１年には民家の浴室（入浴中だったのは男性）を覗いた軽犯罪法違反の
容疑で逮捕され、この時までは芸能界からは干されたものの罪状自体は軽微な
ものだったため刑務所へは収監されませんでしたが、この後で薬物関連の事件
で三度逮捕され通算で７年間の服役を経験しています。
２０１８年に過去の清算をするようなツイートを送信していることから薬物の
依存から脱して前向きな気持ちに転換したと思っていたので、逮捕されるのは
五度目、身柄を拘束されていない初犯を含めて六度目の警察沙汰（２０１５年
にも盗撮疑惑はありましたが押収物から画像がなかったため処分保留）の今回
が一番残念な気持ちです。
時代が変わって、現在でも名曲と言われているシャネルズ、ラッツ＆スターの
歌唱シーンが公共放送で放映されない原因を作ったのが田代まさしの逮捕歴で
あることは紛れもない事実であり、グループの振り付けを担当してダンスでは
中心的な役割だった田代まさしの無自覚な行動によってグループの活動が停止
しただけでなく再結成も出来ない状況になっていたわけですが、出所から五年
を経て、来年ぐらいには一度限りの再結成があるかも、なんて期待をしていた
自分がバカみたいな感じです。
一つだけ他責にするとするなら、盗撮や覚せい剤使用などの犯罪に手を染めて
しまった後で、離婚したり仕事を失ったり、服役をしたりといった社会的制裁
を受けてもなお、メディアが社会復帰を妨げたことは隠しようのない事実だと
思いますし、いわゆる前科者を受け入れる社会基盤の寛容さという視点で見た
場合、日本は開発途上国以下の脆弱さであり、犯罪者であっても人権があると
いう基本的人権の尊重（殺人や強姦などの重大事犯の犯人に人権は認めないと
いう持論はありますが）に則って、日の当たる場所で仕事をすることに対して
批判が集まる、無間地獄の国だとは感じています。
少なくとも懲役刑であれば刑務所から刑期を終えて出てきた以上、牢獄に収監
される懲役という刑罰を満了しているのですから、その後は温かく迎え入れる
ことが再犯防止の意味合いからも重要だと思いますが、それが出来ていないと
いうのは日本の社会には江戸時代の思想が残っているということでしょう。
人は誰もが同じような耐久性を持っているわけではありませんから、心の弱い
人を社会が受け入れなければ、心の弱さを利用しようとする反社会的な人間に
利用されてしまうという事実を田代まさしは身をもって伝えたとも言えます。
だからといって今回の田代まさしの行動が正当化されるとは微塵も思いません
が、違法薬物を隠すこともなく持ち歩き、不用意に宿泊施設に忘れてくるとか
犯罪に対する感覚が麻痺しているような感じで、いわゆる末期的な薬物中毒者
という領域に入ってしまっているのでは？という懸念があります。
最後にいつも不思議に思うことですが、現政権がなにか問題を起こした時には
必ず、芸能人や元芸能人が逮捕されます。
今回の田代まさしも薬物所持が発覚したのが８月にも関わらず、逮捕状の請求
は今月１１月５日で、萩生田文科相の放言と三原じゅん子参議院議員の失言が
取り沙汰された時期と一致しています。これが単なる偶然なのか、政権が裏で
暗躍しているかはそれぞれの人が判断することですが、個人的には悪辣な政権
のやりそうなことだなと思っています。