相撲の取り組みの中で、今回のように土俵から転落して怪我をした力士や
取組中に相手から張り手をくらって昏倒してしまう力士が毎場所のように
いますが、失神した力士を立たせたり、本人の意向を聞いてから救急車を
呼んだりして、何かにつけて対応が遅いように思います。
張り手で失神しているということは、張り手を食らった方の力士は、ほぼ
間違いなく脳震盪を起こしているわけで、後遺症や硬膜外血腫による死亡
までを想定して対処するべきだと思いますが、ボクシングや格闘技などの
ようにドクターが随時チェックをすることなく風呂に入って引き上げると
いう慣習は非常に危険なんじゃないかと思います。
結局、13日目の怪我は左上腕部の筋損傷と診断されて、一か月の加療が
言い渡されたようですが、一歩間違えれば力士生命が終わるとか、社会で
生きて行くのに非常に苦労しなければならない後遺症が出る危険性も考慮
して翌日以降の出場には日本相撲協会の理事や審判などが、もっと神経を
使うべきだったと思います。
脳震盪を軽く考えてはいけないとして、フィギュアスケートの羽生選手が
中国人選手と氷上で衝突した際に、出血していながら本選に出場した際に
スポーツ医学の複数の医師が批判したのと同じく、打撲などの怪我の場合
翌日以降に筋肉や腱、骨の異常が見つかる場合もありますから、その場の
優勝は大事だと思いますが、そこは将来を考えて運営側が出場を制限する
ことがあっても良かったと思います。
多くのスポーツから根性論、気合で頑張るという表現が激減している中で
相撲については神事だから別格とか、そんなことを言っている自称ファン
もいるみたいですが、選手が亡くなったり、大怪我で引退してしまったら
全く意味がありませんので、優勝したからと言って、怪我の治療を二の次
にしたことを褒め称えるのは間違っていると思います。
ほんとうに危ない スポーツ脳震盪 | |
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