今から30年以上前にアニメにもなって大ヒットした漫画「タッチ」
朝倉南ちゃんを理想の恋人像にしていた人も少なくないと思います。
野球部のエースで人望もある上杉和也とマイペースで周囲に一生懸命とは
無縁のような上杉達也の双子の兄弟と幼馴染の朝倉南の絡みがストーリー
の中軸にあるわけですが、甲子園出場予選の決勝当日に子供を助けようと
した上杉和也は子供の代わりにトラックにはねられて死んでしまいます。
野球部のマネージャーとして、甲子園に行くことが夢だった朝倉南の夢を
叶えるために上杉達也は和也の代わりに野球部に入り、甲子園への出場を
目標に野球に取り組み、朝倉南もまた新体操の選手としてインターハイを
目指すというスポーツ根性モノのようでありながら、洗濯をした朝倉南の
下着を畳んで喜ぶ上杉達也の姿を描いて、当時の少年漫画誌のトレンドで
あったラブコメの要素もある「タッチ」の人気はかなりのものでした。
そういう私も「タッチ」「みゆき」の単行本は全巻揃えていましたし当然
理想の恋人は朝倉南ちゃんでしたが、野球のセンスもなく容姿にも難あり
の私には理想が叶えられることはありませんでした。
大人になると容姿以外にも評価されるポイントが出てくるもので、絶対に
不釣り合いだと言われるほどの奥さんと結婚することが出来ましたが当時
の「タッチ」「みゆき」を読むと何とも言えない懐かしさを感じます。
という話はともかく、作者のあだち充氏が作品の中で上杉和也を死なせた
ことについて、最初から殺すつもりでキャラクターを作っていたこと暴露
するインタビュー漫画が以前、月間少年サンデーに掲載されました。
その中で漫画のタイトルの「タッチ」のタッチはバトンタッチのタッチの
ことだと説明し、上杉達也のタッチだと思っていた私は30年以上もの間
タイトルの意味をはき違えていたことがわかりました。
というか、当時にリアルタイムで読んでいた人は上杉和也から上杉達也へ
バトンタッチをしたからタッチだと思っていた人なんてほとんどいないと
思いますからね、元々殺すつもりだったという黒台詞も含め、新たな発見
をしたような気がします。
実は「みゆき」でも兄弟で結婚するとか、いくら血が繋がっていなくても
そういう発想はなかなかないような感じがするので、あだち充氏の作品を
もう一度最初から読み返してみると、実は…みたいな隠れメッセージとか
を見つけることが出来るかも知れないなぁ…なんて思いました。