猪瀬直樹・東京都知事がニューヨーク出張中にニューヨーク・タイムズ紙
のインタビューで、イスタンブール(トルコ)を意識して東京と比較して
批判したと思われる発言があったとニューヨーク・タイムズが伝えた問題
で、猪瀬知事が真意が伝わっていないと釈明したのに対し、インタビュー
をしたニューヨークタイムズ側は、記事には絶対の自信があると表明して
鎮静化が難しそうな状況になってきました。

国際オリンピック委員会(IOC)は五輪招致の行動規範として「各都市
は他都市の批判や他都市との比較を行ってはならない」と規定しており、
マドリードを想定した「競技者にとって一番いい場所はどこか。インフラ
が整っておらず、洗練された設備もない二つの国と比べて下さい」という
発言と、イスタンブールを想定した「イスラム諸国が共有しているのは、
アラー(神)だけで、お互いに喧嘩ばかりしている。そして階級がある」
という発言をそのまま読み取れば、一方的な批判であると抗議を受けても
仕方ないレベルの発言だと思います。

日本の優位性を強調したいのであれば、数多くの外国人にも知られている
富士山の美しさとか、60年以上もの間。諸外国との紛争を武力によって
解決することなく繁栄してきた平和国家であることを前面に出せば多くの
国々の賛同が得られるはずなのに、熱病のように憲法を批判し続けている
前知事の非常識発言に慣れてしまった現知事では他国を貶める発言以外に
日本を優位にするコメントは思い付かなかったのかも知れません。

いづれにしても、非差別主義・非暴力を最重要な規範であると考えている
国際オリンピック委員会の心証をかなり悪化させたことは間違いない事実
でしょうから、東京が選ばれる確率はかなり低くなったと思います。

人種差別の世界史―白人性とは何か? (刀水歴史全書)
藤川 隆男


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