この長浜を含む湖北地方の郷土料理として「焼鯖そうめん」という料理があり
黒壁スクエアの一角に、翼果楼(よかろうと呼びます。)という老舗のお店が
ありまして、これがなんと行列が出来ているんですよね。
昔ながらの商家で営まれているお店で、一階と二階に座敷の席がありメニュー
は焼鯖そうめんと焼鯖寿司のみだったように記憶していますが、食べるものが
決まっていたので、あまりまともにメニューを見ていなかったので、実際には
琵琶湖の湖魚を使った料理もあったかも知れません。
詳しくは触れませんが、琵琶湖には琵琶湖八珍と呼ばれる魚介類がいます。
ビワマス、ニゴロブナ(ふな寿司の原料)、ホンモロコ、コアユ、ゴリ、ハス
スジエビが八珍、他にもコイ、ウナギ、ワカサギなど魚種は多いです。
なぜ、豊富な淡水魚が入手できるのに焼鯖そうめんが郷土料理として地域内で
伝承されるようになったのかですが、長浜を通る北国街道は若狭地方から京都
に向かって日本海産の魚を運ぶルートだったために鯖街道と呼ばれていたほど
鯖が頻繁に運ばれていたことから地方特有の食文化が生まれ、娘の嫁ぎ先には
農繁期の五月見舞いとして焼鯖を届ける習慣もあったそうです。
ということで、焼鯖そうめんの感想ですが、一度焼いた鯖を濃いめの味付けで
煮てあるために、さばの臭みが消えていて美味しいです。
骨までじっくりと煮てあるので、ほとんど骨は気になりません。
そうめんも鯖の煮汁で味付けされているので、濃いめの味なので日本酒に合う
かな?という感じですが、地元ではご飯のおかずとして食べているそうです。
若狭の方では「へしこ」になり、琵琶湖では焼鯖そうめんになって、京都では
鯖寿司に姿を変えて地域の人々に食の幸福を提供したわけで、最近は高級魚に
なりつつある鯖は何百年も大衆魚として地域社会に貢献していたのですね。
長浜の郷土料理・焼鯖素麺
- 限定・季節の食材