鮒ずしは、琵琶湖特産のニゴロブナ(近年は個体数が減っていて、代用として
ヘラブナやギンブナを使っているようです)を塩漬けにしてから、ご飯の中に
漬け込んで作る、なれ寿司(魚とご飯と塩で乳酸発酵させた食材)で、寿司の
源流をたどると、ここにたどり着くとされています。
ニゴロブナ
ヘラブナの方が体高が高いです。別名ゲンゴロウブナですが、釣りを対象に
養殖されたのがヘラブナで、天然で繁殖しているのが、ゲンゴロウブナとも
聞いたことがあります。
ブラックバス、ブルーギルによる琵琶湖の生態系の悪化によって、原料となる
ニゴロブナの生息数が非常に少なくなったため、今では幻の食材とも言われて
いますが、琵琶湖周辺では伝統的な食品です。
外来魚が固有種を駆逐したという証拠はないと一部の自称自然愛好家は屁理屈
を言いますが、魚が喋るわけもありませんし、証拠がなければ罪を問えないと
いうのは、あくまでも人間を対象とした裁判の話であるわけで論点のすり替え
でしかないと個人的には見ています。
というような話はともかくとして、鮒ずしの話題に戻ります。
塩漬けにしたフナの中にご飯を詰めて、フナとフナの間にもご飯を挟み昔から
の桶に漬け込んで、乳酸菌発酵させるわけですが、ご飯の形が崩れ乳酸菌特有
の酸味のある匂いが醸されて、表面に水が上がるようになったら鮒ずしの完成
ということになるのですが、全体の工程は、とても多くの手間と時間が必要に
なっていることから、原材料費と手間賃を加算すると1尾3.000円以上の値段に
なるのも仕方がないというのが現実ですね。
乳酸発酵した鮒ずしは薄切りにして酒肴にするというのが一般的な食べ方だと
されていますが、地元ではお吸い物やお茶漬けでも食べられているようです。
どうしても匂いが強いので、抵抗を感じる人も少なくは無いようですし個人的
にも高額なお土産として買っても、家には酒類の愛飲家はいない上、珍味系は
ウケが悪いので薄切りが数枚パックで1,000円の最安値のものにも手が出ない
というのが実際のところです。大人の味覚に目覚めるのは後期高齢者になって
からぐらいなのかも知れません。
その代わりと言っては何ですが、長浜名物の鯖素麺は食べました。
そのお話は次回にて書くようにします。
琵琶湖の特産味覚・鮒ずし
- 限定・季節の食材