デザイナーが、それぞれの感性を最大限に発揮して作り上げた自信作の下着を
着用してもらうのですから、もしも感性の鈍い女性が着用して、デザイナーが
もっとも購買者にアピールしたいポイントを適切に見せることが出来なければ
デザイナーの苦労は水の泡ということになってしまいますから、わざわざ鈍感
な女性をモデルとして採用することはあり得ないでしょう。
では、なぜモデルの女性は普通ならば隠すことが普通の下着姿を堂々と明るい
照明の下で披露することが出来るのでしょうか？それに対する答えと思われる
見方が「下着の社会心理学」という本に纏められていますので、必要な部分を
要約して書いておくことにします。
下着と同じように肌を露出する着衣として水着がありますが、ビーチやプール
で水着を着ている女性を見ても、風景の中に溶け込んでいますから、水着姿に
性的なイメージ（健康的なセクシーなイメージとは違う）を受ける人はあまり
いないと思いますが、同じ水着を例えば会社の事務所や歩道など日常的な場所
で着ていた場合、下着とあまり違いの無い水着を着る必然性が無いので、性的
な意味合いが強くなり着ている女性も恥ずかしさを感じるとされています。
ランジェリーショーという非日常的な空間では、下着姿であることに必然性が
あるために、モデルの女性たちは見せること＝魅せることというように考えて
仕事として冷静に対応するようになるために、恥ずかしさを感じるというより
一種の仕事着的な感覚になり、日常の一コマとして意識がコントロールされて
裸同然で恥ずかしいという意識は隠れてしまうようです。
それは大浴場で温泉に浸かったり、病院での受診の際にも同じような日常感に
感情が支配されるために必然性のある脱衣には抵抗を感じないという心理状態
が作り出されて、大浴場で全裸になることに恥ずかしさを感じることが少なく
なるということのようです。
女性が心を許した男性の前では、下着姿どころか全裸であっても恥ずかしさを
表に出さないのも同じように、必然性のある脱衣には羞恥心を感じないという
心理が働いているわけですから逆に考えれば、定期的に性的関係があって恋人
だと思っている女性がいたとしても、その女性が下着姿や全裸ではリラックス
出来ていないと感じるようならば、その女性は心を許すまでの距離関係だとは
感じていない可能性が高いということだということです。
いわゆる清純派女優と呼ばれていた人が写真集の撮影をした結果、当初は予定
されていなかったアンダーヘアの写真も許可してしまった際、後の記者会見で
必然性を感じたから脱いでしまいました、みたいな発言を涙ながらにする場面
が以前はありましたが、カメラマンによる女性心理を操るテクニックが女性の
羞恥心を上回ったら、そのような結果が起きるという見本みたいな話です。
セクシーな下着が売れる背景、そのような下着を着けて大勢の観客の前で股間
を突き出すようにポーズを取るモデルが恥ずかしさを感じない理由など、女性
の心理を適切に深く読み解くのはそんなに簡単なことではありませんね。