土俵に落ちたので負けたわけですが、手足が脱力して、うつ伏せで動かないと
いう状況は明らかに異常に見えましたが、行司は響龍の様子を見ることも無く
勝った力士の勝ち名乗りを上げ、その後もしばらく放置状態でした。
倒れてから少しして、うつ伏せだった響龍を呼び出し人が三人がかりで仰向け
にひっくり返しましたが、首を固定することも無く素人の対応でした。
さらに時間が経って土俵周りの親方や相撲診療所の医師(映像で見る限りでは
救命救急が出来るような医師ではなく、せいぜい捻挫の診断ぐらいが上限かな
という感じの医師でした)が、簡単に様子を見てから、また首を固定すること
なく担架に乗せて土俵から運び出して病院に搬送されました。
その後、日本相撲協会のホームページとか相撲関係のニュースを見ても「いま
一生懸命、治療に専念しています」というテレビの放送が中断した時のような
適当な説明だけだったので、逆に良くない状態なんだろうな、と思いましたが
予感が当たって亡くなってしまったというのは残念過ぎます。
なぜ、プロレスやボクシングのようにリングドクターを常駐させないのか?
力士や親方、呼び出し人などの関係者に、頭を打って首に負担がかかった際に
頭を動かしたり、首を動かしてはいけないという意識付けをしていないのか?
根性と気合でなんとかなる話ではないことぐらいわかることでしょう。
芝田山広報部長は「何が原因か、因果関係は分からない。こんなことが起きる
とは誰も思っていない」と答えたらしいですが、原因は首を強くひねった際の
脊椎への影響だと思われますし、因果関係は首に重傷を負った患者を不用意に
動かした相撲関係者の行為でしょう。そしてこのような結果になることはあの
事故を見た多くの人が事故直後にニュースなどでコメントしていました。
一般的な見方をすれば「首の骨の脱臼・骨折」により頸髄が損傷していたもの
と思われます。「響龍さん自身が首から下が動かない」と言っていたという話
がありますから間違いないと思います。
入院後、徐々に体は動かせるようになったようですが頸髄は呼吸をするために
必要な神経もあるため、呼吸が上手くできず、痰を排出することも難しかった
のではないかと思われます。響龍さん自身が「たんがよくたまる」と、訴えて
いたという話もあるので、そういった呼吸に無理が重なった関係で、肺血栓を
発症したのではないかと想像します。
※ あくまでも症例からの想像ですが、直後の様子から多分、多くの人が同じく
事故後のケアミスだと感じていると思います。
要するに相撲協会の人間は危機管理意識もなければ、緊急救命措置の基礎知識
もなく安全な運営能力など皆無の木偶の坊だということです。
今年の初場所でも湘南乃海-朝玉勢の取組で、頭同士がぶつかって湘南乃海が
脳震盪でフラフラの状態で取り直しをさせるという愚を犯しています。
多くの批判が集まり、この後の理事会で「審判委員は、力士の立ち合いが成立
する前に、相撲が取れる状態でないと認めた場合には、協議の上で当該力士を
不戦敗とすることができる」という規則を作りましたが、協議とか無駄な時間
をかけるよりもリングドクターならぬ土俵ドクターに全権を一任して、後遺症
が残らないように速やかに治療をするルールを作るのが普通なんですよ。
意識の低い元相撲取りに理事長から、安全管理、広報など全てをこなすことは
無理なんですから、少なくとも安全管理と医療ケア、広報の責任者は民間企業
から専門的に業務をこなしてきた人を選任するべきです。
今のままでは、再び事故が起こるリスクはとても大きいと思います。
大相撲の力士・響龍さんが死去
- 訃報・追悼