巷では、蜂蜜は健康食材、砂糖は不健康食材という話を喧伝している人が実在
していて、その理由として挙げられているのは蜂蜜は天然素材、砂糖は人工的
に精製されたものだから危険という見方のようです。
白い砂糖は漂白剤を使って白くしているという説が事実のように多くの人から
人へと伝わっていることも誤解の一因かも知れませんが、上白糖の場合は砂糖
（ショ糖）を結晶レベルにまで精製したものであって実際には無色透明の結晶
である砂糖が、多面体であるがために光の屈折によって白く見えるだけのこと
ですから、決して漂白したり食品添加物で加工をしているのではありません。
白砂糖よりも自然素材に近い「きび砂糖」や「黒砂糖」は天然のミネラル分が
多く含まれているので健康的という話もありますが、実際には生成段階で糖分
が「焦げた」ことで色がつくわけですから天然由来の成分ではなく焦げた糖分
（カラメル）の色がついているというのが実際のところであって白砂糖よりも
ミネラルは多いかも知れませんが、特別に健康に良い成分が入っているという
わけではありません。
結局、砂糖全般として考えた場合、種類による違いはあまりありませんし特別
に健康に良い成分も逆に健康を損なうような添加物もありません。
それに対して蜂蜜ですが天然素材を名乗る以上はあくまでも純度100％が蜂蜜
であるという前提が必要になります。
蜂蜜の値段を見てみると500gで398円のものもあれば、698円のものもあって
さらには一桁違った3.000円のものもあります。
398円のものはブドウ糖加糖液糖が添加されています。外装表示があります。
割合までは書いてないので正確にはわかりませんが、多くて半分ぐらいが天然
由来の蜂蜜で、残りはブドウ糖果糖液糖である可能性が高いと思います。
次に、698円のものは中国からの輸入品となっていて、さらにブレンド品だと
いう表示がされています。
蜂蜜は、いろいろな種類の花からミツバチが集めてきたものを冷酷非道な人間
たちが横取りをすることによって生産・供給されていますが、基本的には単一
の花の蜜を集めたものが上級品だとされています。（品質が一定だから）
蜂蜜はそれぞれの花によって香りに違いがありますが、その特徴が利用する人
にとって好みの特徴（香りの好き嫌いとか、甘味の違い）であるほど、需要が
増えて希少価値が高まり価格に反映されるようになっています。
逆に、欠点の目立つタイプの蜜の場合には供給に対して需要がないために在庫
がダブつき気味となって、それなりの値段で取引されることになります。
香りが良いけど甘味が不足気味とか、味は良いけど香りに華やかさがないとか
ちょっと不足する部分を各種の花の蜜を混ぜ合わせて補ったのがブレンド品で
花の個性は感じられませんが純粋な蜂蜜という規格では、100％天然ですから
堂々と蜂蜜として販売することが可能になっているものですね。
最後に、3.000円のものですが、これは国内産、海外産に関係なく単一の花の
蜜だけを集めたもので、特に有名な産地とかマヌカハニーのように健康面でも
効果があるとされている品種の場合は100gで、5.000円を超えるような品種も
あったりしますよね。（高価なものは趣味の世界でもあります）
一般的に高価なものほど高品質である、という見方は強くなるとは思いますが
パンにつけたり、料理の素材として日常使うならばブレンド品で充分です。
香りを活かしてお菓子に使ったり、甘味料として使う場合にはちょっと贅沢を
して、蜜柑の花だったり、れんげの花だけなどの単一品種の蜜を用意するのも
良いかとは思いますが、そうしなければならないわけではありません。
ただ、蜂蜜も糖分ですからね、たくさん摂ったから体に良いという物でもない
というのは常識的な話であり摂りすぎに注意する必要はあります。
また、製品ラベルにも必ず記載してありますが、蜂蜜は一歳以下の幼児の場合
稀に「幼児ボツリヌス症」という病気になる場合もあるので一歳を過ぎるまで
は蜂蜜を与えないようにしなければいけません。
いうことで、二つの甘味料を比べてみたわけですが、特別にどちらかが優秀な
甘味料であるというわけではないので、砂糖は不健康で蜂蜜は健康的な食材だ
という一般的な見方を証明する事実はありません。
砂糖と蜂蜜は使用目的と嗜好で選ぶものであり健康に有効なのは？という視点
で選ぶものではないというのが結論です。