長谷川穂積が引退し、山中慎介がTKO負けをして、強いチャンピオンと
して最後の砦のような存在になっていた井上尚弥が敵地であるアメリカに
遠征をして防衛戦を戦い、相手の戦意喪失による棄権試合という圧倒的な
力の差を見せつけて防衛記録を6回に伸ばしました。
元々、相手の選手が強い選手だという評判が高かったわけでもないことで
井上尚弥が勝つことは当然、何ラウンドでKO勝利にするかという部分に
ポイントが絞られていた試合であることは間違いないものの、勝負事だと
いうことで当日の体調などによっては番狂わせがないとは言えないという
見方もありましたが、やはり攻守ともに上回る井上尚弥にとっては、実戦
練習みたいな試合になってしまったようです。
もっと歯ごたえのある相手との試合をしたかったという試合後の井上選手
のコメントは確かにその通りだなと思える一方的な試合でした。
以前なら、海外での試合では委縮してしまって本来の実力を発揮すること
が出来ないことが多かった日本人選手でしたが、実力を発揮して力の差を
見せつけた井上尚弥は、そういう意味で一昔前の日本人の特性を超越した
存在であることも証明されたような気がします。
ランキングは世界七位だったとはいえ、過去にノックダウンの経験が一度
もない粘り強くタフな選手だと評価されていたニエベスが序盤の打ち合い
で井上尚弥の力を見極めて、超アウトボクシング(要するに、逃げ切りを
画策した)に転換するぐらいの力を見せつけたということで、次戦以降の
相手を選択するのはなかなか難しいかも知れません。
スーパーフライ級で世界最強と言われ、井上尚弥の次の目標とされていた
ローマン・ゴンザレスがタイのシーサケット・ソールンビサイとの試合で
完敗というか惨敗というか、皇帝の座から完全に陥落してしまったことで
井上尚弥の相手として戦うことの意味が無くなってしまったので、今後の
目標に置くべき人が誰かということも含めて、井上尚弥に対する注目度が
上がることは確実でしょうね。