牡蠣は内湾のあまり水の循環しない場所を好むため、水質汚濁の影響を確実に
もっとも顕著に受ける環境が養殖の適地ということになので、内湾に流入する
河川の水質を浄化し、自然界の微生物を増やすことによって、牡蠣の餌が確保
されると共に、消費者が安心して買うことの出来る牡蠣を安全に育てることが
出来るという観点から、養殖をする人たちも緑化活動に力を入れています。
上流の土壌を守り、大雨でも河川~内湾の汚濁を小規模に抑えることが出来る
ように、広葉樹(ブナ)の森を育成することが、色々な面で有効であるという
ことが宮城県の牡蠣養殖業者の方々によって実証されたため、全国的に同様の
展開が始まり、それが形になっているようです。
国内産だけでも需要は賄えていますが、端境期の加工食品用とか業務用に対応
するために、アメリカのシアトル産や、韓国産のものが少量輸入されてはいる
現状がありますが、森から育てる国内産に対する信頼は高いです。
政治家や経団連などの経済団体の役員たちは、諸外国の同業者と比べてかなり
劣化している現状がありますが、現業職に就いている人達は昔からのジャパン
プレミアムに恥じない品質の高い生産を続けているのが唯一の救いかな。
なお、牡蠣は食あたりの原因の代表的な食材のように語られることがあったり
しますが、本当の原因を追求していくと牡蠣自体の鮮度が悪いとか、取り扱い
に問題があるのではなく、牡蠣を育成する海域でなにかの問題が起きていると
いう場合が多いように感じています。
それは鮮度が良いから生食が可能、鮮度が悪いから加熱しないと危険だという
わけではないという牡蠣の調理方法を決める際の難しさにも関係しています。
一つの例として、三重県の志摩半島にある的矢湾産の牡蠣は、出荷前の一定の
時間は無菌海水の中で牡蠣の内部まで殺菌して出荷するという方法を採り入れ
無菌清浄牡蠣として知られています。
逆に有明海の牡蠣は現地で新鮮な牡蠣を食べても生食は推奨されていません。
無菌環境で生食用として出荷するのではなく、牡蠣小屋で焼いたり、加熱して
カキフライやチャウダーなどで食べることが勧められているからです。
美味しい牡蠣の選び方を書こうと思いましたが、話が長くなりましたので次回
に持ち越しとさせていただきます。
以前は農産部門でしたが、その後は水産部門に移り、現在はデリカ部門で仕事
をしていますので、多少は信用してもらえる話を書けるかと思います。