「ゴルゴ13」のさいとうたかをさんが亡くなった時に、まだまだお元気に活躍
されているご長寿漫画家の名前を出させていただきましたが、その時には頭に
思い浮かばなかった白土三平さんが89歳で亡くなりました。
代表作の一つになっている「忍者武芸帳」が発表された1959年には私はまだ
生まれてもいなかったぐらいですから、同じ年代でも白土三平という漫画家の
存在を知らない人は多いかも知れませんが、子供の頃から「木枯し紋次郎」や
「必殺」シリーズが大好きだった爺むさい子供だったので、同級生たちの興味
が「巨人の星」や「仮面ライダー」に向けられていた頃でも「サスケ」を読む
ちょっと変わった子だったので、白土三平さんの死去は寂しいです。
からっ風の吹く殺伐とした印象の作画だった「カムイ伝」と比べると少年誌の
連載だったので「サスケ」の場合は、もうちょっと子供向きの大きな目の少年
に描かれていましたが、話の内容は真田幸村の配下にある甲賀忍者の大猿大助
(サスケの父)と公儀隠密の服部半蔵、柳生十兵衛などの敵との戦いが日常で
腕を切り落とされたり、足が吹き飛ばされたり、従兄弟が銃で撃ち殺されたり
するかなり残虐なストーリーでしたが、アニメ化もされて好きな作品でした。
代表作の「カムイ伝」は三部作の長編として出版社の枠組みを超えて受け継ぐ
という連載が続いていましたが、企画・原案の原作者白土三平さんが亡くなり
作画を担当していた弟の岡本鉄二氏も白土三平さんの後を追うように四日後に
亡くなっているため、三部作の完結を果たせないまま終了になりました。
江戸時代の身分制度で士農工商よりもさらに下の階級だった、非人のカムイが
主役になっていますが、狂言回し的な役割を演ずることもあり、キリシタンの
弾圧とか、今の政治家にも通じる武士の不正など、江戸時代の暗部が描かれて
読んでいると時間を忘れるほど内容の濃い漫画です。
ということで「鬼滅の刃」や「ドラゴンボールZ」の面白さとは違う切り口の
漫画ですが、子供の頃から継続して読んではいませんが、床屋さんで順番待ち
の際に読んだりしていたので、壮大なテーマの漫画を描いていた人だなという
印象はとても強くあります。
子供の頃の実写のヒーローは「仮面の忍者・赤影」、アニメでは「サスケ」で
大人向きのドラマでは「木枯し紋次郎」がお気に入りだった渋い子供としては
ただ、静かに白土三平さんのご冥福をお祈りいたします。