全日本実業団対抗女子駅伝予選会(福岡県)でリレーのタスキを繋ぐまで
残り約200メートルの場所で倒れて(後で右すねの疲労骨折が原因だと
判明)走れなくなった女子選手が、足を引きずったために血を流しながら
這って進み、次の選手にタスキを渡すということがありました。
走れなくなった時点で適切に救護処置をしていれば、そこまで重傷になる
こともなかったのではないかと考えるのが普通の感覚ですし、膝を擦って
血を流しながらゴールに向かうのに対し「最後までよく頑張った」なんて
根性論を恥ずかしげもなく披露する時代錯誤な意見もありましたが、大半
は「なぜ棄権させなかったのか」という意見であったことは世の中が根性
と気合で戦うという旧日本軍のような気色悪い方向へと後退してはいない
ことを示しているわけで、その点は良かったと思います。
ただ、和田正人と言う39歳の俳優はTwitterで「人としての『生き方』
の本質に目を向けたい。戦う人間はその本質で行動をしている。
自分らしさ。そこを全うする生き方こそ、他の意見に惑わされず真っすぐ
に生きる美しい姿だ」と、本人の意志を尊重して最後まで走らせることが
必要だと言いたいようです。
さらに周囲が「とやかく言うのはただの無責任」だとも言っていて39歳
の大人(競技後の生活とか後遺症の危険性までを考えた上で発言するのが
常識のある大人だと思います)がする発言とは思えませんし、逆の見方を
すると戦時中はもっと厳しかったとか言っている懐古主義で完全に時代に
乗り遅れた妄想老人の暴言かと思えるような発言です。
「マラソンや駅伝はショーや見せ物ではなく、戦いでありレース。苦しい
練習や、選手の悩みを間近で触れている人達には、あれを軽はずみに批判
できるはずがない。」とも主張していますが、少なくとも選手本人を批判
しているわけではないので、大会の運営者や審判を擁護しているつもりの
ようですが、チーム監督がレースを止めてくれと伝えているにも関わらず
審判が「選手に続行の意思がある」と監督に差し戻しをして、再確認をし
残り15メートルほどなので見守ったと、いかにも選手の意思を尊重した
自分自身の「英断」を自己評価しているようですが、そんなのは甚だしい
勘違いであり、あえて言いますが「たかが審判」は監督からの要請に応え
直ちに棄権させるのが正しい行動でしょう。
監督はチームの現場責任者であり、審判はルールを順守させるのが役割の
見張り番なんですから、審判が選手の意向を確認したり、もう少しで次の
選手に繋げるから頑張れなんていう主観は必要ありません。
責任者の要請を一旦保留する「たかが審判」なんて必要ないですよ。
自分のミッションを理解して適切なことが出来る人が審判員であるべきで
それじゃ人間である必要がないじゃないかと言うなら、ルールを全て正確
に読み込んだAI搭載のペッパーくんの方が優秀ですよね。
この俳優も、別のある審判員も自分が経験者だからわかるけれど観戦者は
簡単に止めろと言うが、このレースに出るまでにどれほどの苦しい練習や
悩みを乗り越えてきたかを知っているから最後までやらせてあげたいとか
審判員は止めさせる権限がなく、審判長が動かなければ棄権させることは
出来ないなんてことを言いますが、努力を続けて無理をした挙句、後遺症
が残って選手としてだけでなく、日常生活に支障が出るようなことにでも
なりかねないわけですが、そうなっても和田正人という俳優はこの選手に
対して何もするわけはないですよね。それってかなりの無責任ですよね。
何度も言いますが、これは選手を責めているわけではありませんからね。
的確な判断が出来ない周囲の人間たちの浅はかさを責めているのです。
選手はこの日のために練習してきたんだからとか、日本独特と言えそうな
感情論を展開する時代錯誤の人々がぞろぞろと現れて、そういう根性論が
選手の将来を潰すとは考えてられもしない軽薄な人間がスポーツ界だけで
なく経済界やテレビのコメンテーターなんてのにも居たりするような国で
オリンピックなんてとんでもない話だと思います。
オリンピックなんて返上すれば良いのにね。
怪我をした人を適切にリタイアさせられない低レベルな審判員は即刻解任
して、人を人として見られる人に代えることから改善は始まります。
今年はスポーツ界のダメなところばかりが目につきますね。
オリンピックを辞退しなさいという天の声なんじゃないでしょうか