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ディアハンター・デジタル化して再上映 [シネマクラブ]

ロバート・デ・ニーロ主演で1978年に上映されたベトナム戦争の悲劇
を描いた名作映画「ディアハンター」が、最初の上映から40年の歳月を
経て4Kデジタル修復版として12月14日から公開されます。



監督のマイケル・チミノはその後演出した「天国の門」での興行的失敗に
よって、アカデミー賞を受賞した監督としてはあまり評判は良くない印象
がありますが、さらにその後で演出した「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」
も含めて映画の内容自体は社会性も高く後年になって評価が高まっている
感じがしています。(監督自身は残念ながら故人になっています)


鹿狩りを共通の趣味にするマイケル(ロバート・デ・ニーロ)と仲間たち
の中から三人が泥沼化したベトナム戦争に徴兵され、前線に送り込まれて
戦うものの三人ともベトナム人民軍の捕虜になってしまうという辺りから
戦争の内面的な怖さが描かれて行きます。



捕虜になったアメリカ軍兵士たちは、実弾を込めた拳銃で交互に引き金を
引くゲーム(ロシアンルーレット)を強要されるものの、マイケルの機転
によって敵兵を射殺して脱出に成功しますが、濁流を下って逃げる途中で
三人は離れ離れになってしまいます。

その後、任期を終えてマイケルはアメリカに帰りますが一緒に逃げた友人
は両足を失い病院に入院し、もう一人の友人はベトナムで行方不明のまま
になっていることを知りますが、あることをきっかけに友人がベトナムの
サイゴンにいることを確信したマイケルは友人の消息を求めてサイゴンに
戻り、賭けロシアンルーレットのプレーヤーとして生きていた友人と再会
しますが、精神を病んでいた友人を救うことは出来ず悲惨な最期を遂げた
友人を連れてアメリカに帰るという全然ハッピーエンドとは程遠い真っ暗
な気持ちになる映画ですが、国家の威信とか軍事産業の隆盛を目的とした
参戦がいかに一般市民の生活を壊し、個人の尊厳を傷つけ、体だけでなく
心を傷つけるかを描いた本当に心を動かされる映画でした。



同じ頃にとんでもない巨額の製作費と長い年月をかけて、それでも完成が
危ぶまれていた「地獄の黙示録」という映画がありましたが、結果的には
ドアーズの「THE END」が再評価され、ワルキューレの騎行の音楽
に合わせてベトナムの村落をナパーム弾で焼き払うシーンが印象に残った
以外にはほとんど印象に残っていないのが実際のところで、カーツ大佐と
いう狂信化した軍人一人を戦争の狂気の集大成にしてしまったことにより
最前線の兵士たちが人格を壊していく異様な状況を表現できなかったこと
が戦争を身近な恐怖だと感じなかった点ではないかと思います。





それはともかく、全ての人にお勧めする映画ではないと思いますが昨今の
安倍政権による国民主権を無視した腐敗政治と憲法を軽視した軍事政権化
への動きに懸念を感ずる人、政治に関心はないけれど戦争に対する不安を
心の片隅に持っている人には是非観ていただきたい映画です。

The Deer Hunter.jpg

東京以外の地方にも拡大上映されるかはまだわかりませんが、東京都内の
角川シネマ有楽町、アップリンク吉祥寺から順次公開予定ということでは
ありますので、機会があれば観て下さい。



単純に映画として観ても、もちろん心に刺さる場面はあると思います。


nice!(55)  コメント(4) 

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コメント 4

馬爺

訪問NICE!ありがとうございます、
戦争映画はドンパチだけではなくこの様な結末が最後のは後味が悪いですね、なぜ主役だけが助かるのかと疑問に感じます。 
by 馬爺 (2018-10-25 16:53) 

majyo

戦争をどう扱っているか?それが問題ですが
私は好きです。今でも観たいですが、しかし無理
末端の兵士が体を怖し心を壊されます。
戦争はオヤジが始めて若者が死ぬ
若い人に見て欲しいですね。良心的な戦争映画を

by majyo (2018-10-25 18:25) 

suzuran

馬爺さん:
コメントありがとうございます。

主役のマイケルも、薬物中毒にされて自ら引き金を引いたニックも
両足を失ったスタンもそれぞれが同じ会社に勤め、趣味を同じくする
仲間同士でしたから、国同士が個人の意思に関係なく始める戦争は
誰かが生き残るのも運、全員が亡くなるのも運ということを示した
というように観ています。

マイケルは主役だから生き残ったのではなく、生き残ったから主役に
なっているということだと思います。

戦争で不幸になるのは普通に暮らしている一般市民だということを
マイケル・チミノ監督は伝えたかったのではないでしょうか。
by suzuran (2018-10-25 23:03) 

suzuran

majyoさん:
コメントありがとうございます。

この映画を初めて観たのは高校一年の時でした。
小学生の頃から太平洋戦記(米軍が撮影したドキュメンタリー)を毎週
土曜日の午後五時からテレビで見たりして、かなりの反戦少年でしたが
この映画で反戦は自分自身の中で決定的になりました。

「宇宙戦艦ヤマト-愛の戦士たち-」の宣伝コピーは、
君は愛のために死ねるかでしたが、愛する人のために捨て石になるより
愛する人を連れて戦争のないところに逃げるのが一番大切なことだと
自覚するようになったのも、この映画の影響ですし、今でももしも開戦
なんてことになったら、男としての誇りなんて100円にもならないこと
に執着するよりも家族を連れて逃げる道を選びます。

人間死んだら終わりなんですから。
by suzuran (2018-10-25 23:13) 

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