自ら命を絶った直後に遺書はなかった、と報道された藤圭子さんの死去に
対し、娘の宇多田ヒカルさんが遺言書の存在を明らかにして、火葬のみで
終えた葬儀・告別式に対する誤解と批判に回答を示しました。

葬儀・告別式を行なわないという事実のみを伝えた報道に対し、自己都合
による疑問を投げかけたり、亡くなった人に対して遺族が冷徹などの批判
をしている三流メディアがいくつかありました。

電車の中吊りで見た週刊誌の広告では、藤圭子さんの兄が遺体の引き取り
火葬までの手続きをした宇多田氏に対して、絶対に許さないと言っている
というような内容を示唆する見出しがありました。

週刊誌の書くことですから取材の信憑性も怪しいものですが、百歩譲って
本当にそのような発言があったとしても、兄弟の時間と夫婦の時間、更に
親子の時間を長さでなく、濃密さで計ったら兄弟が夫婦や元夫婦、親子の
本当の信頼関係を推しはかることなんて無理だと思います。

そしてまた、大切な人を天界へと送りだす時に盛大な葬儀をすれば本人が
心安らぐなんて話は葬儀屋と坊主のビジネスの話であって、本人の遺志を
正しく実行することの方がなによりも本人のためになるはずです。

そういう配慮をすることもなく、坊主丸儲けみたいな話に乗せられて葬儀
をしないのは故人が云々、なんてことを言っているメディアもアホウなら
それに踊らされて宇多田氏や宇多田ヒカルさんを批判している自称ファン
という人たちも、もう少し冷静に死と向き合うことが必要だと思います。

弔いはイベントではありません、故人の遺志を尊重することです。

葬式は、要らない (幻冬舎新書)
島田 裕巳


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