SSブログ

去勢すると長生きする? [健康・医療]

ペットの犬や猫の場合、男の子は去勢、女の子は避妊手術を受けさせている人は
多いと思いますが、単純に妊娠を避けたいためでなく、健康上の優位な点を考慮
した上で、手術を決断しているのがほとんどだと思われます。



男の子の場合は、マーキングや遠吠え、攻撃的な性格の場合はおとなしい性格に
誘導することが出来るとか、体の柔軟性が高まり怪我をしにくくなるとか、精巣
腫瘍のリスクを無くして、健康に寿命を延ばす可能性が高まるなどの理由が想定
され、実際に長生きすることが確認されています。


女の子の場合は、発情期のストレスを減らすことが出来るとか、乳腺や卵巣など
の腫瘍リスクを下げ、子宮内膜炎や子宮蓄膿症などの病気を予防することにより
こちらも健康寿命を延ばすことも目的の一つだと考えられます。

競走馬の場合も、牡馬の場合は種牡馬として第二の馬生を考えていない場合には
GⅠで優勝しているような優秀な血統を引き継いでいても、去勢して騙馬として
余生を過ごすことになります。

乗馬用の馬として余生を過ごす際に、発情して気性を悪くするようなことはなく
犬や猫と同じく去勢することで柔軟性が向上して怪我をしなくなるという利点も
あるからこそ、競走馬が引退すると去勢するのだと思っています。



中には競走馬の段階であっても気性が荒く、騎手の指示に従うことなく暴走する
ような場合には、去勢して騙馬として登録することがあり、牡馬の時にはレース
で勝てなかったのに、騙馬になった後には大きなレースで優勝している競走馬も
実在しているぐらいなので、精巣を取り除くことは馬自身が長生きするためにも
効果のある手段だと言えるでしょう。

というところで、去勢=精子の生産をしなくなることで本当に寿命が延びるのか
という部分について、精子や卵子(精子く細胞と言います)を人工的に作れない
状態にした場合、その動物はどうなるのかという研究について、大阪大学などの
研究チームが研究結果を発表しています。

遺伝子操作で精子や卵子を作ることの出来ない実験をターコイズキリフィッシュ
という名前の魚で実施したところ、精子を作れないオスは、精子を作れるオスと
比較すると平均13%寿命が延びますが、卵子を作れないメスの場合は7%寿命が
縮んでいることを確認しました。

その理由を調べてみると精子が作れないオスは通常の生殖機能を持つオスと比較
して、活性型ビタミンDが肝臓で多く作られるようになるため、筋肉の再生能力
が高まり、骨量も維持されるようになっていることから、老化が遅くなり寿命が
延びる要因になっているということがわかりました。

逆に卵子を作れないメスは、女性ホルモンが減少し血液を凝固させるたんぱく質
が増加するために血管内で血液が固まりやすくなることから、血管内で凝固した
血液が詰まり閉塞状態が発生しやすくなることから脳梗塞、心筋梗塞のリスクが
増えるために寿命が縮む理由が解明されたわけです。

それでは活性型ビタミンDを与えれば寿命が延びるのか?という方向で実験した
結果、オスは21%、メスは7%寿命が延びることがわかり、人間の場合でも長寿
(100歳以上)の人はビタミンDと関係する遺伝子が一般的な人とは違うことが
あるようなので、健康に長生きしたい人は去勢する前にビタミンDを多く含んだ
食品を積極的に取り入れる方が痛みもなくて良いかと思います。

女性の場合はある程度の年齢になると閉経し、女性ホルモンが減ることによって
更年期障害と呼ばれる不調が出てきますが、女性ホルモンを補うことにより急激
な変化を抑えて、体を順応させて体調を維持することが行われています。

魚を使った実験で確認されたように女性ホルモンの減少は血液凝固の要因になる
かも知れない(魚類とヒトは違うのでは全く同じだとは言い切れない。)という
結果から考えると女性ホルモンの投与にプラスして、ビタミンDを取り入れると
脳梗塞や心筋梗塞のリスクを減らすだけでなく、筋肉の再生力や骨量の維持にも
役立つかもしれませんので、男女ともにビタミンDの接種は大切なようです。



なお、ビタミンDを多く含む食品としては、きのこ(カロリーはゼロなので肥満
を予防する意味でも重要な食品です)、水産物、卵、乳製品があります。
注意しなければいけないのは野菜を食べればビタミンは補えると考える人が普通
なんですが、ビタミンDは野菜には含まれていません。

天日干しにすることでビタミンDは増えるので干しシイタケやきくらげ、干物類
はビタミンDの量が増えています。

但し、日光に当たることでビタミンDは体内で合成されます。
ですから、日光に当たることが重要なので、1日に15-20分程度の散歩を日課に
することによってビタミンDの接種に有効な運動ということになります。


nice!(85)  コメント(2) 
共通テーマ:健康

nice! 85

コメント 2

溺愛猫的女人

昔々は獣医は家畜専門でペットを診てくれる方はいなかったので、猫を去勢避妊をすることなく、オスの猫さんが玄関のカーテンにシッコかけまくって大変でした( ̄▽ ̄;)
by 溺愛猫的女人 (2024-09-15 09:57) 

suzuran

溺愛猫的女人さん:
コメントありがとうございます。

最近はペットクリニックが続々と新設されていますが、それでもペットの
数自体が増えているので、予約制のところが多いですね。

子供が増えないので、小児科や産科の開業をするよりも獣医師になって
ペットの診療をしている方が知識も生かせて、患者の家族(飼い主)に
感謝されるので、やりがいがあるのかも知れませんね。

by suzuran (2024-09-15 10:45) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント






Copyright (c) 2013-2021 suzuran All right reserved