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映画音楽 大野雄二 [シネマクラブ]

日本の映画音楽を進化させて一人として大野雄二をまず推したいと思います。
海外の映画と比べて、日本の映画ではあまり音楽は重視されていないという印象
が強くて、「ゴジラのテーマ」はゴジラを知っている人なら誰でも頭の中で音楽
が鳴り響くぐらいの強いインパクトがあると思います。【文中:敬称略】



が、その他の昭和の中期(昭和30代以降)においては、音楽(オープニングとか
エンディングテーマ)が映画の記憶を蘇らせるほど効果的には使われていないと
感じていて、確かに石原裕次郎、小林旭、美空ひばりなど往年の大スターの映画
は主役の人が歌う劇中歌はヒットして、映画の題名にもなっていたりするものの
音楽を聴いて、映画のタイトルが思い浮かぶようなことはありませんでした。
それは自分自身がリアルタイムで映画を観るようになっても同じでした。


そんな日本の映画でしたが、中学二年生の時に公開された「犬神家の一族」では
日本の映画では音楽が軽視されていると指摘して角川春樹事務所名義で映画製作
を開始した角川春樹氏が大野雄二を起用し、映画のイメージを音楽で表現すると
いうことを重要視した点で、日本の映画を大きく変えたと評価しています。



大野雄二という名前は「ルパン三世のテーマ」で有名ですが、角川春樹事務所の
映画創成期の頃の「犬神家の一族」「人間の証明」「野生の証明」のヒットには
大きく貢献したと思っています。



ジョー山中が歌った「人間の証明のテーマ」は詩人・西條八十の「ぼくの帽子」
という詩を英訳したものに大野雄二が曲を書いた作品でしたが、当時は企業間の
タイアップ、今ではメディアミックスと呼ばれる手法の、先駆者的な宣伝方法で
大ヒットしましたし、町田義人の「野生の証明のテーマ」も売れました。



「人間の証明」のラストシーンで、麦わら帽子がくるくると回りながら谷底へと
落ちていくシーンは、歌と共にずっと忘れられないシーンになっています。

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷(うすい)から霧積(きりづみ)へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆(きゃはん)に手甲(てこう)をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。

けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。

母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦(イタリーむぎ)の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。



角川春樹事務所の音楽は三本のみでしたが、その後も東映、松竹、東宝と日本の
メジャー各社の音楽を担当していますが、角川春樹事務所の映画ほどインパクト
のある作品はないように思います、個人的な見方なんですけどね。


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JUNKO

角川映画はいお色な点で一世を風靡しましたね。
by JUNKO (2024-09-04 21:18) 

suzuran

JUNKOさん:
コメントありがとうございます。

現在の角川映画は、面白い映画はないです。(個人的に)
角川春樹事務所名義で製作されていた映画は、それまでの日本の映画を
転換させようという心意気が感じられて、内容的にはあまり面白くない
映画でも魅力的に感じました。

つかこうへいさんのエッセイの中で「野性の証明」のオーディションで
薬師丸ひろ子が高倉健の娘役を射止めた時、角川春樹さんは原田知世を
強く強く推したので「そんなに好きなら、あんたの嫁さんにすればいい
じゃないか」と言ったら「いくつ違うと思ってるんだ」と顔を赤らめた
という描写があって、角川春樹という人は本当に純粋で少年のような
心を持っていたというようなエピソードが書かれていました。

本当に純粋に理想の映画を作りたかったみたいです。

by suzuran (2024-09-04 23:24) 

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