窓ぎわのトットちゃん【2023年・日本映画(東宝映画)】 [シネマクラブ]
日本の映画はあまり観ませんが、シンガポール航空のエンタメシステムでは字幕
は韓国語や中国語のため、アメリカ映画を観ようと思ったら英語のセリフを理解
しなければならないという状況だったので、日本の映画を観ることにしました。
旧作の一部には日本語の字幕もありましたが、興味のある映画はほとんど自宅で
U-NEXTとDisney+で観ているので、新しい作品を観ようと思ったら日本の映画
しか選択肢がなかったということです。
黒柳徹子さんの原作は有名すぎるほど有名で、いわさきちひろさんの描いた表紙
も好きなんですが、読んだことはありませんでした。
原作を読んでいたら逆にイメージが壊れるかも知れないということで、この映画
を観ようとは思わなかったと思いますので原作を読んでいなくて良かったです。
とはいうものの長野県安曇野にある「安曇野ちひろ美術館」は、安曇野の風景が
好きで複数回行ったことがあり、いわさきちひろさんと世界の絵本作家の作品を
観るのも好きなんですが、この美術館に隣接するトットちゃん広場には、美術館
の館長の黒柳徹子さんの作品「窓ぎわのトットちゃん」に登場する電車の車両を
使った図書室などが設置されていて、説明文を読んでいたので、本を読んだこと
はありませんが大体の概要は理解していました。
アニメのタッチがジブリとは違うものの、いわゆる萌え系の少女として描かれて
いるわけではないので、昭和初期の話には合っていたと思います。
トットちゃんの日常生活を描きつつ、戦争によって官憲が生活に介入をはじめて
息苦しさを感じるような時代を投影させて、戦争によって一般国民が犠牲になり
幸せな生活が壊されていく愚かしさが淡々と描かれているのが良かったです。
右向け右、教壇の先生が発する言葉には一切の間違いがない、と服従が美徳だと
されていた時代に自由な発想で行動し、物事を言えたトットちゃんを育てたのは
自分の信念を曲げることなく軍歌の演奏を断り、委縮することなく音楽を愛した
父親の影響も大きかっただろうなと映画を観て感じました。
破天荒とも言える小学生時代の黒柳徹子さんの話が中心ではなく、誰もが普通と
いう都合の良い型枠に押し込まれることが教育ではなく、弱者に対しても特別視
するのではなく、本来の意味での自由な普通の子として接することが大切なんだ
というメッセージを伝える内容で、狭い選択肢の中から仕方なく選んだはずでは
ありましたが、選択肢の中にこの作品があったことが良かったと思いました。
映画館での上映が終了し、今はU-NEXTでの配信のみですが、そんなに先までは
待たなくても来年ぐらいにはテレビでも放映されるかと思います。
ベストセラー作品の映画だと構えることなく、雑念を忘れて映画を観て下さい。
「きみは本当はとてもいい子なんだよ」とトットちゃんを指導する小林校長先生
の教育の仕方はきっとなにかの支えになるはずです。
原作にもアニメ映画にも触れていないのですがNHKのプロジェクトで舞台となった学校の教育者の方のことを知りました。
あの時代に子供の多様性を重視した教育が行われていたことに感銘を受けました。
黒柳さんの同級生には世界的にも有名な科学者の方もおられるのですね
by 青い森のヨッチン (2024-08-15 12:42)
青い森のヨッチンさん:
コメントありがとうございます。
原作を読んでいないのは同じです。
映画を観て初めて同じ学校に障害を持った子もいたことを知りました。
台詞の中には文字に起こして何度も読み返したいような言葉がたくさん
出てきて良作だと思いました。
名前までは存じ上げませんが物理学者の方のようですね。
自由な発想を子供の頃から伸ばす教育の大切さがよく理解できました。
by suzuran (2024-08-15 23:43)