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大哺乳類展3【国立科学博物館】-5 [おとなの社会見学]

今回の展示で登場した剥製は、ハワイの実業家、故・ワトソンT.ヨシモト氏が
所蔵していて、国立科学博物館に寄贈された「ヨシモトコレクション」の一部で
約400点の大型哺乳類の剥製標本の中には、調査をすること自体が困難な地域の
標本もあるとのことで、元々は地元ハワイの人たちに野生動物の魅力を伝えたい
という思いから収集していたようです。

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野生生物の保護活動にも取り組んでいたヨシモト氏は、それぞれの剥製について
精密なデータベースを残していて、最終年月、採集地なども検索できます。
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/yoshimoto/database/index.html

動物を体系的に学ぶのに実際の動物の姿を見ることが出来るのは、単にスケッチ
から動きを想像するのとは違いますから、生きている状態に近い質感で作られた
剥製を見ることで、動物に興味を持ち、野生動物保護に取り組む人材を育成する
という目的を果たすことに多大な意味があったのではないかと思います。


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イノシシの子供は瓜のような模様があるのでウリ坊と呼ばれています。
大人のイノシシには、このような模様がないのに何故、子供だけ模様があるのか
イノシシが擬態をするという話は聞いたことがありませんが、例えば畑で食料を
探していた時に、人間が近寄ってきても作物の間で伏せていれば、見つかり難い
ということはあると思うので、これも一つの進化だと言えるかも知れません。

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同じ系統の哺乳類が分けられて集められていると、同じ鹿(鯨偶蹄目)の仲間で
あっても、角の形や大きさ、模様など、とても多くの違いがあることがわかって
このような展示を見た子供たちの中から、動物に興味を持ち、動物学者になって
野生動物を絶滅の危機から救う人が現れたらヨシモト氏も本望でしょうね。

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カバと鹿が仲間ということでも、外見だけを見ていたら不思議な感じがしますが
南極の冷たい海で泳ぐ、世界最大の哺乳類シロナガスクジラや日本近海にも回遊
するマッコウクジラなどのクジラの仲間が偶蹄類と近しい生き物だということを
何十年も生きてきて初めて知りました。

そんな新たな動物の世界を知ることが出来て、この展示に行って良かったです。
鯨偶蹄目の次には、敏捷でカッコいい生き物として描かれることの多い食肉目が
集められていました。

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日本では、食肉目のことをネコ目と表記することがありますが、食肉目の中には
ネコ科、イヌ科、クマ科(ジャイアントパンダは笹を主に食べますが、食竹目と
いう分類ではなく食肉目クマ科です)などがありますから、ネコ目イヌ科という
表現には違和感があります。やはり食肉目が適切だと思います。

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大きな耳を持つフェネックは一時期、ペットとしての需要があった記憶があります。

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一時期、水族館の人気者だったラッコですが、野生のラッコが激減してアメリカ
ロシアからの輸入が事実上できなくなったため国内繁殖が頼りでした。
が、生後間もなく死んでしまう個体が大半で、飼育頭数は減り続け現在は高齢化
が進んだため生きているラッコを見られるのは数年だと予測されています。

現在は鳥羽水族館に2頭、マリンワールド海の中道に1頭のみで、パンダよりも
見学が難しい存在ですが10年後には確実に動かないラッコだけになります。

毛皮を目的にして乱獲されたのが絶滅危惧種になった要因ですが、人工的に温度
を保つ素材など無数にあっても、毛皮を着たがるバカな某女芸能人みたいなのが
存在するために、地球上から存在しなくなりつつあるというのは不条理な話だと
思いますが、お金しか頭にないバカに理解することは無理なのでしょう。

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最後は鰭脚類で、アザラシやトド、オットセイなどが仲間です。
ハーレムを作るオットセイは精力旺盛だから、その精力を人間に活用できるはず
だと、オットセイの睾丸を精力剤にするために乱獲して絶滅危惧種になりました
ということで、本当に人間というのは愚かだなと思います。

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女性はそんなに精力旺盛な歩くアダルトグッズなんて求めていませんし、財力も
必要なハーレムなんて、どれだけ精力があっても無理に決まっています。
動物について調べていると、そんなことも学べるわけで人間の愚かさ、醜悪さが
どんどん明るみに出てくるものです。

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テレビは見ないので、お笑い芸人というカテゴリーの人はほとんど知りませんが
ミナミゾウアザラシを見た時は、思わず日村さんと思いました。
イメージが被りすぎてしまいました。

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一通りの展示を見て、展示室から出ると何故かハイエナがいました。
まるで生きているように精巧に仕上げられた剥製で、掃除屋とか悪いイメージが
先行していますが、このハイエナはとても可愛く見えました。

大哺乳類展、もっとゆっくりと解説も読みたかったのですが、本当に多くの人が
来場していたので、剥製の写真を撮って後から見直すことしか出来なかったのが
残念でしたが、国立科学博物館の特別展はいつもこんな感じなので、ある程度は
覚悟はしていました。仕方ないですね。


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溺愛猫的女人

剥製の仕草や表情がとてもよく表現されてますね。素晴らしいです!!!
by 溺愛猫的女人 (2024-06-19 11:04) 

suzuran

溺愛猫的女人さん:
コメントありがとうございます。

ヨシモト氏は、財を成した後、他の国・地域の動物を見たことのない
ハワイの人達に多くの種類の動物を見てもらうことを目的に剥製の収集
を始めましたが、ハワイでは適切な管理をして剥製を展示する施設が存在
しなくなったため、動物の研究、観覧者に動物の生態に合わせて作られた
見学してもらうために、所蔵していた数百点のコレクションを国立科学
博物館に寄贈したそうです。

絶滅した動物は動物園でも見られませんし、檻の中で動物を展示すると
いうことに批判的なNGOもありますから、なるべく生態を表現した形で
剥製を展示することは意義のあることだと思います。

by suzuran (2024-06-20 11:10) 

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