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日本の伝統食・梅干しの話 [限定・季節の食材]

間もなく梅雨の時期になり、梅が本格的に流通するシーズンを迎えます。

ジトジトとして嫌な時期ですが、この梅雨の時期に雨が降らないと日本で唯一の
自給率100%の食料である稲作に大きな影響が出ますので、安易に、なくなれば
良いと言い切れるものではありません。

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梅漬けを漬け始めた頃を起点に降り出した雨が、梅の水(梅酢)が表面に上がり
梅干にするために天日干しをする頃になると降り止むので梅雨と呼ばれるように
なったという話もありますが、関連性が本当にあるかはわかりません。


ただ、確実に言えることは、最近(21世紀になってから)はあまり梅干しを作る
人がいなくなったということです。

市販の化学調味料と合成酢に浸けた(漬けたではない)本物とは言えない梅干は
数週間でカビが生えるのが普通で、手間をかけて塩だけで漬け込んだ梅干しとは
根本的に違いがあり、保存方法を工夫すれば100年以上も持つのですから、心を
込めて丁寧に作った本物とは、違いは大きいのが現実です。

梅干しは、勿論「梅干し」の形で生育するわけではありませんから梅の実の段階
で収獲され、全国で約9万トン程度が出荷され、主に青梅と呼ばれる生の状態で
販売されて梅干しや梅酒に加工されています。

一般的にもっとも有名な産地としては和歌山県が挙げられます。
その中でも、和歌山特産の南高梅の場合は、他の地域で収穫される梅の実が青梅
で流通するのに対して、黄色に紅色が混ざった熟した状態で出荷され、店頭でも
梅の実から甘い芳香が漂っています。

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南高梅を使った梅干しは自然な甘味と香りがあり高級食材として認知されている
のでお値段もそれなりに高くなっていますが、生産者は減少の一途で、生産量も
漸減している状況なので、需要と供給の関係で高くなるでしょうね。

ただ、一般的に販売されている青梅を含めたとしても、現在の日本国内の需要は
国産品だけでは賄いきれないのが現状になっていることから、近隣国の台湾から
相当量の輸入が行われています。

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梅干しには和歌山の南高梅が最高品質と呼ばれてはいますが、梅干一つにしても
好みは人それぞれですから、柔らかくて粒の大きい梅よりも、カリカリの食感の
小梅が好きだという人も当然存在しているので一概には言えません。

生の梅を買う時は粒の大きさが揃い、黒い斑点のないものを選んで下さい。
選果によって同一の木から採れた物ばかりとは限りませんが、それでも、一定の
粒の大きさに揃っているものは、漬けた時に塩分の濃淡がないので漬け上がりが
味も見た目も美味しく仕上げることが出来ます。

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梅干しをつける時間を捻出するのが難しい人は市販の梅干しを買うことになると
思いますが、その場合は塩だけを使っているものが日持ちして保存に耐えます。

梅は塩漬けにすることで、自然に梅酢が浸出して酸味と塩味のバランスが取れて
完成しますから、他の調味料は不要ですし、自然のクエン酸の力で雑菌もあまり
寄せ付けることはありませんから食中毒の心配は不要になります。
また、最終過程で天日干しをしている段階で日光殺菌されるため、梅干し自体に
カビが生えるようなこともありません。安心して使える食材です。

店頭に並べられて盛んに売られている梅で梅干しを作ってみませんか。


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リス太郎

ジャパライフのビジネスの参考になります。ゆゆちゃんにも紹介しておきます。
by リス太郎 (2024-06-03 01:47) 

青い森のヨッチン

梅干しの話題だったのでてっきり6月1日よりの漬物などの保健所認定以外の加工場での販売禁止の話題かと思いました。
ご存知でしたかこれまで産直施設などで販売されていた家庭で漬けられた漬物や梅干しは保健所の認可施設(HASAP基準クリア)でないと販売できなくなりました。
青森県内でも梅干しづくりは盛んで道の駅の人気商品ですが新基準で販売を諦める人が多いそうです。
設備投資して作る人もいるそうですが高齢の方にはハードルが高いです。
数年前の漬物での食中毒死亡事故を受けての措置とのことです。
漬物や梅干し文化は将来的に工場生産の規格品になっちゃうかも
by 青い森のヨッチン (2024-06-03 21:10) 

suzuran

リス太郎さん:
コメントありがとうございます。

青い森のヨッチンさんが書かれているように、漬物を売るのにも
細かい基準をクリアしなければならなくなるので、なかなか商売に
つなげるのは難しいかも知れません。
by suzuran (2024-06-03 21:33) 

suzuran

青い森のヨッチンさん:
コメントありがとうございます。

昔から漬物は「塩」を大量に使うので殺菌力が高く、また発酵食品
なので、食中毒は滅多に発生しないと思われていたので、大規模な
管理システムがなくても作ることが出来ましたが、最近の漬物は
減塩志向に合わせて塩を減らし、本物の醸造酢ではなく工業用酢酸
を使って作ることが増えているので、本当の手作りならば10年ほど
経ってもカビも生えなかった梅干しが数週間、数か月で腐敗したり
カビが生えて食べられなくなるケースが増えています。

そういう側面があるので、基準を厳しくしたと思いますが、それは
逆に丁寧に手作りで梅干しや漬物を作っている個人や中小業者には
足枷になってしまい、仰るようにHACCP基準ありきになり衛生面
では基準を満たしても、自然食品からは距離を置きそうですね。

昔ながらの物々交換で、金銭を使わない方法で必要な人に必要な物が
行き渡ることを邪魔しないでもらいたいですね。

by suzuran (2024-06-03 21:44) 

溺愛猫的女人

毎年ほんの少しですが作ってます。美味しいですよね(*^^*)
by 溺愛猫的女人 (2024-06-04 10:24) 

suzuran

溺愛猫的女人:
コメントありがとうございます。

自分で素材を選んで、自分の好きな塩分濃度で作るから良い塩梅になる
ということですよね。梅干しも漬物なので自分で作るのが一番良いかも
知れませんね。
by suzuran (2024-06-04 21:15) 

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