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殺人ウィルスを媒介するマダニの怖さ [健康・医療]

陽気が良くなってきて、河川敷の公園でボール遊びをしたりする機会が増える
時期になってきましたね。最近は河原に自生する野草で食用になる種類が意外
に多いことがYouTubeで紹介されていることもあってか、ポピュラーなツクシ
やヨモギだけでなく、帰化植物を採取する人の姿も見かけます。

madani2023.jpg

でも、河原に生えている草の葉っぱの裏側には、マダニがいることも忘れては
いけないことで、マダニは血を吸う際に、殺人ウイルスを媒介します。
そして媒介されるフレボウイルスは有効な薬品やワクチンはありません。
感染による致死率は6.3%から30%と報告されていて特に皮膚の柔らかい子供
は咬まれやすく、抵抗力が低いため感染が重症化する割合も高いです。


このマダニが媒介する感染症のことをSFTS(重症熱性血小板減少症候群)と
呼び、これまでに感染症発生動向調査で報告されている報告数は763件あって
671人は生存と報告され、92人は死亡と報告されていますが、報告時点の状況
のため死亡者の人数が増加(致命率が上昇)している可能性がある他、伝染病
ではないために届け出されていない例もありそうです。

コロナウイルスによる感染症が減少したこともあり、アウトドア活動が活発に
なって来たこと、都会でも河川敷にグラウンドや公園が整備されたことにより
河原に近付くことが多くなったこと、減反政策や農業従事者の高齢化によって
マダニが生息する藪や低木、草地が増えたことが原因で、都市部の人がマダニ
に噛まれる機会が増えたことがSFTSの感染者数の増加が懸念されています。



マダニは室内に生息しているコナダニと比べるとかなり大きく、2センチ以上
の個体も珍しくなく、活動が停滞していた冬期から活動期の春になったことで
草の裏で吸血するための獲物が通るのを待ち構えているので、葉っぱの裏側を
見ればマダニが生息しているかを知ることは割と簡単です。

草地などで草の裏に群れて血を吸う動物を待っているので、ペットの犬の散歩
をしている人間が草地に入り込むと草の裏からこぼれ落ちるようにして、犬の
場合だと首筋や背中の被毛の下、人間だと脛やふくらはぎの辺りに噛みついて
血を吸い始めます。テントウムシを大きくしたような形なので、見ればすぐに
わかりますが強い顎でしっかりと噛みついて離れないので、手で払い落したり
潰したりしても、頭部だけが噛みついたままで残りウィルスを媒介します。


この女性の場合はウイルスに感染しなかったのが幸いでしたね。

マダニは無数の感染症ウイルスを持っているので、噛まれるとSFTS以外にも
日本紅斑熱、ライム病など多くの感染症に罹患するリスクがあります。

また風土病とされているツツガムシ病は、一部の地域に生息するダニの仲間で
あるツツガムシに噛まれることで発症する病気なので、草木のある河原や広場
雑木林や藪などに入る時には長袖、長ズボン、手袋と露出する足の部分を完全
に覆う靴(長靴がベスト)を履き、帽子を被って、首にはタオルなどを巻いて
素肌を出さないようにして防御することが、マダニやツツガムシによる被害に
遭わないために必要なことです。

ツツガムシ病やライム病は有効な抗菌薬があるので、早く適切な治療をすれば
重症化することは少ないですが、それでも死亡例は多数あります。それに加え
被害が増加しているSFTSは予防薬も治療薬もありませんから、噛まれた時点
で感染したら後は対症療法で症状を和らげることしか出来ないのが現状です。

感染した場合、約1-2週間の潜伏期の後、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気
嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、意識障害、出血症状など、全身に症状が
出てくるので、普通じゃないことは分かると思います。

感染した症例では血液や体液に存在するウィルスが、人から人へ感染した例も
確認されているぐらいで、SFTSに感染すると、当事者だけでなく家族の予後
も、場合によっては厳しい状況になってしまいますので、野外活動には充分に
注意することが大切なことです。

なお、ペットを野外で散歩させた時には道端の草からもマダニが付着すること
がありますので、散歩から帰った後は目の粗いブラシやペット用のクシで毛を
すいて、マダニが潜んでいないかをチェックし、もしもマダニを見つけた時は
噛まれないようにティッシュなどで包んで潰して下さい。

この時に、感染の危険性があるので絶対に直接、触れないようにしましょう。
体液が目や口に入ると危険なので、なるべくマスクやゴーグルなどで自分自身
の身を守ることを考えましょう。

ペットに噛みついている場合は、無理に引っ張ると口の部分だけが残って化膿
したり感染症になる心配があるので、そのまま獣医に連れて行き、医療用器具
で安全に取ってもらうようにして下さい。

ちなみに犬や猫は抗体を持っている場合が多いので、マダニに噛まれた場合で
あってもSFTSを発症することはありませんが、近所で飼われていたビーグル
はマダニが顔全体を覆うほど増殖して、貧血のために死んでしまいました。
少しの間に対処が間に合わないほど増えるので早く見つけることは必須です。


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