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彼女が目覚めるその日まで 【2016年・カナダ映画】U-NEXT 見放題 [シネマクラブ]

「キック・アス」「キャリー」「フィフス・ウェイブ」など、アクションから
ホラー、SFまで各種の映画で主役を演じ、ハリウッドの若手女優の中でも多く
の出演作のある役柄の引き出しの多いクロエ・グレース・モレッツが主演した
難病を扱った映画が「彼女が目覚めるその日まで」です。



アメリカの女性ジャーナリストが自分の体験を書いた「脳に棲む魔物」を原作
として作られた実話に基づいた作品で、著者がニューヨーク・ポストの記者と
して働いていた20代の頃に罹患した、難病の「抗NMDAN受容体脳炎」という
病気の発症から回復までの七か月の闘病記録が再現されています。


日本での公開ではヒット作とは言えない興行成績でしたが病気を忠実に描いて
アメリカでの評価は高く単に感動するというだけではなく、最先端の現代医学
でも解明できない病気があることを理解し、難病とされている病気でもいつか
原因が見つかって治療できることもありうるという希望も持てる映画です。

映画が公開された時は偶然なのか計画されていたのかはわかりませんが、日本
で製作された同じ病気から回復した女性の実話を映画化した「8年越しの花嫁
奇跡の実話」も公開されています。(こちらもU-NEXTで観られます)

女優のシャーリーズ・セロンが、プロデューサーとして関与していることでも
話題になりましたが、それはともかくとして、簡単にストーリーを紹介すると
優秀な記者として、順調に仕事をこなしていたスザンナ・キャハランでしたが
唐突に発症したひどい物忘れによって仕事に支障をきたすようになり、幻覚・
幻聴が始まって体調の悪化が進み始めると、全身がけんれんする激しい発作に
襲われるようになります。

病院に入院して検査をしてもデータ上は異常なしということで、医師が精神病
を疑い精神科への転院を勧めるものの、両親と恋人による診断に対する抗議に
よって、さらに検査を進めた結果、世界で217番目の「抗NMDA受容体脳炎」
の患者として認定され症例の少ない未知の病との戦いが始まるという話です。

映画の中での創作ではなく、唐突に発病して症状が悪化の一途を辿って言葉を
交わすことも出来なくなる難病が実際にあることが怖いのですが、どんな病気
であっても家族が信じることは大切なんだと思います。



実際の「抗NMDA受容体脳炎」という病気は主な症状としては幻覚や幻聴など
が出るようになり、精神状態が不安定になることから不自然な体の動きが出て
自分で制御できないのが特徴で、激しくベッドの上で動き回るなど本人の体の
負担も大きく重症化すると亡くなる場合もあるという病気です。

ホラー映画でよくある悪魔が憑りついた状態とこの病気の特徴が一致するので
昔は悪魔憑きとされてエクソシストと闘わされたのは、この病気の人だったと
推測されているようで、日本でもキツネ憑きとか獣の怨霊が憑りつくと怖いと
昔は言われていましたから、日本においても昔から発症していた人がいたはず
だと思われます。

現代の日本においても病名すら知らない医者も少なくなく、内科から精神科へ
脳外科、産婦人科、神経内科などの診療科を、転々とたらい回しされた挙句に
病名が付かずに絶望している患者や家族が日本にも存在いるようですが、病気
の100万人当たりの発症率が0.33%ということのようですから、普通に病気を
診ている特殊な臨床例のない医師が判断するのは難しいでしょうね。

卵巣に腫瘍があると、腫瘍に対する抗体が出来てそれが、抗NMDA受容体抗体
になるために女性患者が85%以上、腫瘍ができやすいとされる平均年齢が26歳
と若い人が発症するとされていますが、卵巣に腫瘍がなくても発症する場合も
があるので、絶対に卵巣腫瘍が原因だと断定はできないみたいです。

感動の押し売りの作品は苦手という人も、健康であるための知識を深めるため
という理由でこそ観るというか、そういう理由でこそ観て欲しい映画ですね。


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