企業による公害は終わっていない

映画「MINAMATA」の話から水俣病の話を続けています。
この時代（1960年代の半ば）は、私が小学生の頃なんですが、いわゆる四大
公害病が表面化した頃に該当する時だったので、四つの公害病について、ほぼ
一斉に責任の所在を求めたり、補償を求める裁判が提訴されました。



熊本県水俣市の水俣病、新潟県阿賀野川流域の第二水俣病、富山県神通側流域
のイタイイタイ病、そして三重県四日市市の喘息が四大公害病です。
この四大公害病の提訴年を語呂合わせで覚える方法という動画が、YouTubeで
公開されていたのを偶然に見つけて思いましたが、このような出来事を単なる
語呂合わせでテストに出すのなら、逆に教科書に載せる必要はないですよ。

数百人から数万人規模の被害が出ている公害病の内容を、深く知ることもなく
語呂合わせだけで覚えることに何の意味があるのか？これからの時代を生きる
小中学生に事実を伝えて絶対に再発させてはいけないという強い意志を持って
もらうためにも、しっかりと伝えるべきであり、語呂合わせで発生年を書いた
ところで、そんなものは学習ではありません。隠蔽が大好きな政権与党が教育
にまで改竄、隠蔽をねじ込んでいる例の一つかもしれませんが、現場の教師は
絶体にスルーしてはいけない近代日本の事実だとして伝えて欲しいです。

という話はともかくとして、映画「MINAMATA」についても、上映に批判的
な人がいたり、日本でロケーションをしていないために日本の風景とは違うと
いう部分をとらえて、日本や日本の会社、日本人を正しく理解していない映画
だとネガティブな見方を拡散しようとしている勢力がいることにより、日本の
市民・国民が大企業や行政に対して問題提起をしない異常な状態が維持されて
いるのだと思います。国民はもっと自分たちが快適に、安全に生活するために
政治家や行政は何をするべきかを大きな声で訴える必要があると思います。



水俣病などの公害病は過去のことではありません。
原発事故の後の政府・企業（東京電力）の対応を見ている限り、相変わらずの
過少報告や隠ぺい体質が定着しているのは周知の事実であり、100％安全だと
言いながらも、放射能汚染水は飲んでも安全だと自分で試しもしていない机上
の空論を嬉々として放言している大学教授とかがいますが、ああいう非科学的
な思考回路の人を持て囃すのは、大体は政権与党の幹部連中なわけですからね
こういう人達を落選させないと日本は再び、公害大国になります。

そういう話は日本だけではなく、中国南部では河川から高濃度のカドミウムが
検出されたにも関わらず、地元政府の当局者は一週間、中和剤を撒いただけで
安全宣言を出すという杜撰な対応をしたものの、もちろん市民は信用するはず
もなく、水道水を使わないためにミネラルウォーターを買うために市民が殺到
したというような例もあります。

カドミウムはイタイイタイ病の発生原因であり、工場から流されていた期間が
仮に１０年であったとしても、一週間の対応でなにかが変わるというものでは
なく、川の水は集まって海に流れ込み、そして世界へと繋がっていることさえ
念頭にない対応では50年以上前に起きた失敗の繰り返しになります。

アフリカのタンザニアにあるビクトリア湖には、ナイルパーチという肉食魚が
養殖され、日本にも輸入されていますが、ビクトリア湖の湖畔には化学工場が
あり、その廃液からはメチル水銀が検出されていますからナイルパーチを常食
している場合、水俣病の症状が出る危険性はかなり高いです。



では、日本に輸入されているナイルパーチは検査されているのでしょうか？
海外から輸入した魚に対して、メチル水銀の含有状態を検査は義務付けられて
いませんから、検査を受けたナイルパーチが流通しているかは不明です。

そもそも日本の国内では、ナイルパーチという魚名で売られていることはほぼ
なく、加工食品の白身魚として利用されていることが多いです。

このような例から海外で、公害によって危険性を秘めた食材が輸入業者側にも
知られていない状態で入ってきているという想定は必要だと思いますし、今後
も輸入されてきた食材の中に安全性の懸念があるものはあるはずです。

水俣病の原因を究明し、水俣病患者の生きる権利を守るために証言をした医師
が遺した言葉が以下のように残されています。

「人命は生産より優先するということを企業全体に要望する」

公害病に限らず、一人当たりの仕事量の増加や業績評価によってうつ病の発生
件数や自殺者数が高止まりして、パワーハラスメントや不当労働行為といった
働く人を不幸にする問題が常態化することもまた、企業が生み出す公害の一つ
であると認識して排除することが人が幸せに暮らす原点の一つだと思います。

タグ：公害病 メチル水銀 水俣病 カドミウム イタイイタイ病