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飛行機の話 鹿児島~福岡・YS-11搭乗記 [飛行機・鉄道・自動車]

もう今は日本の商業航空業界からは完全に引退していますが、20年以上も前に
民間の航空路線からの退役が時間の問題だと騒がれ始めた頃に、国産の旅客機
に乗ることなんて、これからの人生でも二度とないかも知れないな、と考えて
鹿児島から福岡へ移動する際に、通常のジェット旅客機に空席がありましたが
あえて利用しました。予約する際にプロペラ機ですが良いですか?とご親切に
案内してくれましたが、大丈夫ですとお答えしました。



正確にはYS-11のエンジンも機械式のレシプロではなく、ジェットエンジンで
プロペラを回すターボプロップエンジンなので、純粋なプロペラ機ではないと
言えますが、見た目の通りのプロペラ機として搭乗記を書きます。


鹿児島空港は地方空港ですが、東京や大阪からの大型機も飛来するので基本的
にはボーディングブリッジで飛行機に直接乗り込みますが、プロペラ機の場合
ターミナルの一番端っこの方に、屋久島や与論島など南西諸島に飛ぶ、小型の
プロペラ機が離発着する駐機場があるので、そこまでトコトコと歩いて階段で
下まで降りて、飛行機のあるところまでは歩いていきます。

YS-11_JAC.jpg

飛行機の前に立つと搭乗客数(64人)の割には、大きく感じる機体です。
県営名古屋空港から飛んでいるFDAのエンブラエル製のE-170やE-190よりも
乗客数は少ないのですが、大きく感じました。

昔ながらのタラップを上って指定席に座ると乗客は全部で五人でした。
同じ時間帯に、エアーニッポンの鹿児島から福岡に飛ぶ便があったので、仕事
で乗る人はジェット機の便を選択しますよね、今は日本航空に吸収されている
日本エアコミューターのYS-11を選ぶのは、マニアックな飛行機大好きな人か
福岡の行動予定との兼ね合いのある人ぐらいで、数十年前から飛んでいる古い
機体に乗ってみようという人はいなかったみたいです。

エンジンがかかって、キーンという甲高い金属音が響いて、プロペラが全力で
回るブーンという音が大きくなったら、ゆっくりと機体が動き出して、滑走路
へと向かってゆるゆると移動を開始しました。

東京行きのB-747を後方に従えて、誘導路を進む機体。
現在の飛行機は窓に日よけのシェイド(最新型のB-787は窓ガラス自体が調光
出来るようになっています)がついていますが、YS-11は窓枠の上下に小さな
カーテンレールが設置されていて、そこにカーテンがついているのです。

YS-11_cabin.jpg

当然、前方のスクリーンなんてありませんから、非常用救命胴衣の使用方法も
CA(キャビンアテンダント)が実演していました。

小さな飛行機ですが意外にも滑走路を走る時間は長く、まだ上がらないのか?
推力が足りないの?と不安を感じ始めた頃、ようやく離陸しました。

巡航高度が低いので、自分の乗った飛行機の影が映る地上を見ながら福岡まで
特に大きな揺れを感じるようなこともなく、窓から流れる景色を見ているうち
にジェット機と大差ない時間で福岡空港上空へと着きました。

着陸の角度はジェット機よりも緩やかな感じで、地上の風景がグングン迫って
くるというよりは、ゆっくりと翼を広げて降下する大型の鳥類の滑空のような
感じの着陸で、古い飛行機に乗っている怖さは全く感じませんでした。

当然ながら途中、何のトラブルに遭遇することもなく定刻通りに福岡空港へと
着陸したYS-11をタラップを降りて振り返って見ると、古い機体でも悪くない
だろ?と誇らしげに見えたものでした。

現在は日本の空からは引退しましたが、フィリピンやインドネシアの国内線は
まだまだ活躍を続けていて、名機と呼ばれている飛行機です。


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