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真空パック食品の危険性 [問題提起]

すでに20年以上前のことになりますが、熊本名物の「からし蓮根」の食中毒で
複数の死者が出たことを覚えてみえる方もいらっしゃることと思います。

それまでは、真空パックの食品というと空気がないわけですから病原菌や細菌
にも影響されない安全な保存方法と信じられていました。

botulinum.jpg

ところが真空包装にされていた、お土産のからし蓮根を食べた人たちが強烈な
細菌に感染して発症し、数人の方が亡くなるという事件が起きて、しばらくは
真空パックやレトルトパックの食品は危険視されたものでした。


でも、悲しいかな人間は忘れる動物ですから、その後も同じような食中毒事件
が起きて人が亡くなる事故が起きています。
今回は、この食中毒の原因菌であるボツリヌス菌のお話です。

ボツリヌス菌は、日常生活で接するごく普通の土壌に広く分布していて、海や
湖沼などの酸素の少ない泥の中にも棲んでいます。

higata.jpg

一般の細菌と大きく違う点として、嫌気性という性質を持っていることで簡単
に言えば、酸素がない環境でこそ活発に増殖するという細菌で、真空パックや
レトルトパックなどの空気がない食品は増殖に最適な環境になります。

また、他の細菌にとっては生存が難しい、塩分や酸性の環境でも平気ですから
塩漬けや酢漬けであっても全く生存上の障害にはなりません。
ですから、一般的には最も安全と考えられている煮沸したびん詰や缶詰、真空
包装されたものが危険要因の高い食品となるわけです。

ただ、劣悪な環境で生存するだけに、逆に衛生環境が整った加工場内で清潔に
注意して加工された食品の場合は、あまり感染の危険はありません。

例として、自家製の塩辛や保存状態の悪い缶詰、また衛生面で問題のある工場
(海外とは限りません。)で、真空パックにされた魚の燻製や酢漬け・塩漬け
などは特に注意が必要な食材とされています。

ボツリヌス菌は太平洋戦争時には細菌兵器としての利用が検討されたほど毒性
の強い細菌の上、芽胞が殻に包まれた特殊な構造をしていますから、長時間の
煮沸でも死ぬことがありません。
※ 強化カプセルに守られた殺戮専門の戦闘員なのです。

感染後の潜伏期間は、約半日から3日程度と幅がありますが、初期症状は一般
の食あたりと大差はありません。

その後、症状が進むと神経症状が現われ、物が二重に見えたり、痙攣して舌が
もつれたりするなどの危険な症状に移行していきます。

発熱や意識の混濁がない場合には症状を見逃す場合があり、不幸にして治療が
遅れた場合には、呼吸困難を引き起こして死に至るという細菌ですので感染が
疑われた時には早めに受診するなどの注意が必要です。

予防法としては長期保存できる食品(瓶詰め・缶詰・真空パック)を、あまり
過信しないことに尽きると思います。

出来るだけ、責任の明確なメーカー(輸入品であったとしても、ある程度名前
を知られている輸入商社)の商品を利用するようにしていれば、多分ほとんど
感染するようなことはないと思います。100%の保証はありません。

あまり安いからといって、原産国の表示が曖昧だったり、輸入した会社が全く
知名度のない会社の場合は買い控えた方が無難だとは思います。


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